【2日目】1ヶ月で学ぶ高校地学【地球の歴史】

プレートテクトニクスの開始

火星や月では、形成された地殻が流動的なものにならず、マントルから表面への物質の移動が一方的で、やがて火山活動は減衰した。
一方で、それよりも大きな天体に成長した金星や地球では、マントル深部での高圧条件で結晶の相転移が起こることでマントル対流が発生し、地殻がマントルに還流することで、火山活動は今も継続している。
特に地球はハビタブルゾーン(水が液体として存在し得る領域)に位置しており、海洋地殻と大陸地殻との密度の違いによりプレートテクトニクスを開始した。実際に移動する部分をリソスフェア、岩石が部分融解しており流動的な上部マントルの最上層をアセノスフェアと呼ぶ。

先カンブリア時代

冥王代太古代原生代に分けられる。それぞれの境界は、原始海洋の誕生とともに生物が誕生したとされる40億年前、酸素の出現により真核生物が誕生した25億年前によって分けられ、先カンブリア時代は地球の誕生した46億年前から、カンブリア爆発の起こった5億4100万年前まで続き、それ以降は現在まで顕生代が続く。顕生代は、さらに古生代、中生代、新生代のように、細かく分けられる。

(1)冥王代

この年代は隕石の衝突が激しく、地表がマグマオーシャンで覆われていたため、地質学的な証拠に乏しい。この頃に生命が誕生されたと考えられ、現在では、100℃を超えることのない間欠泉内部で、ウラン鉱床のエネルギーと、月の潮汐力による還元的環境(水中)と酸化的環境(地上)の繰り返しにより、生命構成単位の重合反応が進み、やがて自己複製機能を獲得した原始生命体が誕生したとされる。なお、このような重合反応により生命が誕生する確率は低く、観測可能な宇宙の範囲では地球以外に(少なくとも非生命から誕生する)生命は存在しないという計算になる。

(2)太古代

グリーンランドでは、38億年前の礫岩枕状溶岩が発見され、このことは海洋の存在を意味する。原始海洋の形成により、大気中のCO2は、石灰岩として海底に沈殿したり、生物により取り込まれて有機物に形を変えたりするなどにより、大気、海洋中から取り除かれた。

(3)原生代

24億年前までは大部分が還元的であった海洋に原核生物のみ存在していたが、光合成を行うシアノバクテリアの出現により海洋は酸化的な環境となり、大気中にも酸素が充満した。このことにより多くの金属は金属イオンとして沈殿し、特に海底に沈殿した酸化鉄は現在、縞状鉄鉱床として地層に現れる。また、22億〜20億年前の地層には、炭素同位体の異常が見られ、これは光合成活動が活発だったことを示す。シアノバクテリアの作る炭酸カルシウムによる堆積構造はストロマトライトと呼ばれ、現在もオーストラリア西部に見つかる。

・大酸化イベント

25億〜22億年前のヒューロニアン氷河時代における全球凍結は、温室効果ガスであるメタンや二酸化炭素が酸化によって消失したことが一因とされる。これにより、その原因となったシアノバクテリアも減少した。この氷期を脱出した理由として、大規模な隕石の衝突により温室効果ガスが再び大気中に出現したという仮説がある。

・真核生物の誕生

酸素の出現により嫌気呼吸に比べて効率が良い酸素呼吸をする最近が登場した。真核生物は、酸素呼吸を進化させたαプロテオバクテリアが細胞内共生によりミトコンドリアになることで誕生した。シアノバクテリアも同様に細胞内共生により葉緑体となった。

・二度目、三度目の全球凍結

7億年前、6億年前に大気中のCO2の減少により全球凍結状態になった。いずれも火山活動によるCO2の放出により全球凍結を脱し、6億年前に多細胞生物(エディアカラ生物群)が出現した。

古生代

5億4100万年前のカンブリア爆発から2億5200万年前の古生代末の大量絶滅まで続く。エディアカラ生物群の化石は、5.7億〜5.4億年前の地層から見つかり、肉眼で確認できる大きさである。カンブリア紀では、これらの生物が硬い殻、目や背骨のもととなる脊索などを獲得し、多様な動物群が短期間で出現した(カンブリア爆発)。
三葉虫は節足動物の仲間で古生代前半の示準化石、フズリナは石炭紀以降古生代末までの示準化石とされる。

・オゾン層の形成

大気中の酸素の増大に伴い、オゾン層がシルル紀までに形成されたことで、シダ植物が陸上に進出した。石炭紀には大型のシダ植物による森林が広がっていた。

・陸上進出

植物の陸上進出に続き、外骨格(殻)を獲得した無脊椎動物、さらに、内骨格(背骨)を獲得した脊椎動物がヒレの骨格と肺呼吸を発達させることで陸上進出を果たした。

・大陸移動と古生代末の大量絶滅

ペルム紀後期(2億5000万年前)に超大陸パンゲアが形成される以前、ローレンシア大陸付近は赤道に近く暖かい海だったため、サンゴ類が繁栄した(示相化石)。
超大陸パンゲアが形成されると、火山活動の活発化により、火山灰が空を覆い、光合成活動による酸素の供給が減少した。このため海水面と海底との循環が弱まり、海底付近は低酸素状態になる(海洋無酸素事変)。
このときに、地球史上最大の噴火によるシベリア・トラップ(シベリア洪水玄武岩)が形成された。

・地質年代の暗記

顔(カンブリア紀オルドビス紀)に汁(シルル紀)で(デボン紀)、石炭(石炭紀)ペッ!(ペルム紀

中生代

・白亜紀スーパークロン

外核における活発な対流により地磁気が安定したことで、地磁気の逆転が3000万年にわたり停止したが、これは活発な火山活動による超大陸パンゲアの分裂と連動している。これによりCO2の濃度は1000ppmに達し(現在は400ppm)、平均気温は現在より10℃ほど高く、北極や南極でも0℃を下回らなかった。また、海水面は現在より200m高かった。

・アンモナイトの進化

アンモナイトの殻は炭酸カルシウムからなる。シルル紀にオウムガイ類から進化した。中生代末にかけて進化したアンモナイト目には、異常巻きが見られることもある。

・中生代末の大量絶滅

中生代には、イチョウなどの裸子植物恐竜などの爬虫類、始祖鳥などの鳥類、アンモナイトが繁栄し、哺乳類はまだ小型だった。6600万年前頃、隕石衝突による塵によって海中、陸上の光合成を行う植物が激減したため、食物連鎖の崩壊により、全生物種の75%が絶滅した。

・地質年代の暗記

三畳(三畳紀)のジュラシック(ジュラ紀)パーク(白亜紀

新生代

中生代末の大量絶滅を生き抜いた小型の哺乳類が新生代に大型化して進化した。古第三紀は温暖な気候が続き、大型の鳥類も存在した。イチョウやメタセコイア(生きた化石と呼ばれる)など、一部の裸子植物は残ったが、被子植物が大きく進化した。新第三紀、700万年前には、恒常的な直立二足歩行を行う人類が、アフリカの森林で誕生した。原人はヨーロッパ、アジアにも進出していたが、20万年前の新人がアフリカから進出したことで、原人、旧人に代わって繁栄した。

・氷期と間氷期

第四紀(260万年前)以降の海底堆積物の中に、氷河により運搬された氷成堆積物が広い範囲で確認されることから、氷期間氷期が数万〜10万年の周期で繰り返されていることがわかった。現在は間氷期である。最終氷期における海水準は現在より120mほど低かったが、海進が2万年前から始まり、6000年前の縄文海進では、海水準が現在より3〜4m高かった(貝塚分布より)。

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