【14日目】1ヶ月で学ぶ高校地学【センター対策・地層と化石の見方】

日本列島の成り立ち

2億1000万年前(三畳紀後期):大陸縁辺部にイザナギプレートが沈み込み、プレート収束境界付近に高圧変成岩の三郡帯と、それに伴う石灰岩付加体の秋吉帯、その内陸側に花崗岩バソリス(大規模な底盤)と、それに伴う低圧変成岩の飛驒帯を形成。

ジュラ紀〜白亜紀前期:チャート、砂岩、泥岩、石灰岩からなる堆積岩の付加体である、美濃−丹波帯北上帯が大陸に付加。

9000万年前(白亜紀後期):大陸縁辺部に太平洋プレートが沈み込み、プレート収束境界付近に高圧変成岩の三波川帯と、それに伴う石灰岩付加体の秩父帯、その内陸側に低圧変成岩の領家帯を形成。三波川帯と領家帯の境界に中央構造線(逆断層)を形成した。他に、高圧変成岩の神居古潭帯、花崗岩バソリスの阿武隈帯はこの時期に形成された。

6000万年前(古第三紀暁新世):四万十帯の付加。4300万年前、太平洋プレートの運動方向が西向きに変化し、島弧−海溝系を形成した。これにより美濃−丹波帯、三波川帯、領家帯、四万十帯には衝上断層や横臥褶曲を形成したナップ構造が見られる。現在の中国山地付近は隆起するが花崗岩が削られ、準平原化した。

2500万年前(古第三紀漸新世):背弧海盆(縁海)である日本海盆の形成。フィリピン海プレートの北上に伴い、太平洋プレートが沈み込み、伊豆弧を形成した。これにより現在の越後山脈付近でも火山活動が発生した。

1500万年前(新第三紀中新世):フィリピン海プレートの沈み込みに伴う伊豆弧の衝突開始に伴い南部フォッサマグナが、日本海の拡大に伴い大和海盆が日本海盆の手前に形成されるとともに、北部フォッサマグナ(大地溝帯)が形成された。このとき、海底火山の出現により、グリーンタフ(凝灰岩層)が発達した。

300万年前(新第三紀鮮新世):フィリピン海プレートの方向が変化し、日本列島全体で東西方向の圧縮が進む。これにより中央構造線を含め、西南日本では横ずれ断層がメインに、フォッサマグナ以東では逆断層がメインとなった。これ以降奥羽山脈や九州で火山活動が活発になった。

100万年前以降:伊豆半島の衝突、箱根火山、八ヶ岳、富士山の活動など。

日本最古の鉱物:宇奈月で見つかった、飛驒帯の花崗岩に含まれた37.5億年前のジルコン粒子。

日本最古の岩石:上麻生の飛驒川河床(美濃−丹波帯)に上麻生礫岩が露出する。これに含まれる花崗片麻岩の礫は20.5億年前の年代を示し、これが日本最古の岩石である。
メランジュ:付加体において、泥岩や蛇紋岩(かんらん岩の変成岩)の基質にブロック状の岩片が入った岩体が見られる。これをメランジュといい、プレート境界で岩石が破砕されて堆積し、地表に露出したものである。

日本最古の地層:阿武隈山地南部には古生代〜中生代の日立変成岩類が広く分布する。このうち日立市の変成花崗岩類はおよそ5.1億年前の年代を示す。日立変成岩類の原岩は、ゴンドワナ超大陸の火成岩で、石炭紀まで山地を形成していたと考えられる。そして、赤道付近で海に沈み、阿武隈帯の形成とともに浮上してきた。

日本で見つかる化石

コノドント:カンブリア紀〜三畳紀の原始的な魚。奥飛騨温泉郷で産出した4.7億〜4.4億年前のコノドントが日本国内最古のもの。見つかった地層は飛驒外縁帯に含まれ、中朝地塊の東縁で形成された火山砕屑物が飛驒帯と接することで変成岩や超苦鉄質岩を断片的にともなって形成された。高圧変成岩の結晶片岩や蛇紋岩も見られ、ゴンドワナ大陸の一部だった頃に付加したと考えられる。槍ヶ岳、岐阜県石徹白など、飛驒帯の南部に断片的に分布する。コノドントの他に、サンゴ、三葉虫、ウミユリなどの暖かく浅い海の化石が見つかる。

イノセラムス:暖かい浅海に生息する二枚貝。九頭竜層群によく見られ、ほかにジュラ紀のアンモナイト、べレムナイト、トリゴニアなどの海の生物が見つかる。

シダ植物:九頭竜層群に隣接する手取層群にはかつて湖が存在し、シダ植物のほかに、白亜紀の恐竜の歯、日本最古の鳥類の足跡化石、ニルソニアなどのソテツ類など、淡水域の生物の化石が見つかる。

以上のことより、九頭竜層群、手取層群一帯は、三畳紀後期に形成された飛驒帯を基盤に、ジュラ紀後期から白亜紀前期にかけて、堆積による海退があったことがわかる。

貨幣石:古第三紀に世界中の暖海に栄えた直径10cmの有孔虫の一種。小笠原、天草、南西諸島で見つかる。

メタセコイア:北半球の高緯度に広く分布し、日本では絶滅したが、岐阜県土岐市の粘土層(かつて大きな湖が存在した)で化石が発見され、のちに現生していることが確認されたことで、「生きている化石」とも呼ばれる。

ビカリア:マングローブが生息するような、亜熱帯の泥質汽水域に生息する巻貝。日本では舞鶴などの日本海沿いで見つかり、古第三紀まで日本の沿岸は暖かく、本州各地の河口域にもマングローブ林が繁っていたことを反映する。

・その他
トウキョウホタテは東京湾がさらに内陸部に浸入していた、かつての入江である東京層から見つかり、海進を反映している。全長20cm。現在は絶滅している。
新第三紀には寒冷化により南極に氷床が形成、各地に氷床が形成されたことでより冷やされ、第四紀では氷期と間氷期を繰り返した。これを反映し、氷期には樺太経由で北海道からマンモスが入ってきて、長野県でも100万年ほど前の化石が発見されたが、2万年前に氷期が終わり、絶滅した。

プレートテクトニクスと世界の地層

・海洋底の年代測定

熱残留磁気
海嶺でマントル自体が部分融解を受けて出てきたマグマが冷却される際、その岩石は磁化し、当時の地磁気の方向が記録される。
地磁気の逆転を反映したパターンが海嶺を中心に左右対称であることから、海嶺で噴出した溶岩が固まるときに、当時の地磁気の向きに磁化し、左右に拡大していったことを示す(海洋底拡大説)。
最古の海洋底は、パンゲア大陸東縁から遅い速さでテチス海を北上し、地中海東部に存在する2〜3億年前のもの、あるいは、パンゲア大陸西縁からパンサラッサ海(古太平洋)を西に進み、マリアナ海溝付近に存在する2億年前のものが挙げられる。3億年前以前の岩石は海洋底には存在しておらず、既に沈み込みを終えたか、大陸に付加して地上に現れたかのいずれかである。
堆積残留磁気
海底や湖底に磁性をもった鉱物が堆積し、徐々に地磁気の方向に向きながら堆積岩となる。インドの堆積残留磁気を調べると、ジュラ紀の地層から伏角が負から正へと変わっていくことから、かつては南半球にあったことがわかる。

・ウィルソン・サイクル

大陸移動により大陸が合体して超大陸を形成すると、大陸縁辺部に新たな沈み込みができることでその部分に線状のマントルの下降流(コールドプルーム)が生じるかわりに、大陸中央部に点状のマントルの上昇流(ホットプルーム)を生じる。そのため、ホットスポットや海嶺、地溝帯を作り分裂する。1500万年前の日本海の拡大もこの働きによるものという仮説もある。
分裂後、地球の反対側またはもとの場所に集まり、新たな超大陸を形成する。この周期は数億年である(ウィルソン・サイクル)。

・地震波トモグラフィー

2つ以上の地震を数多くの観測点で記録することで、地中の低速度領域(高温)高速度領域(低温)を調べる。
これにより、日本からアジア、インド大陸下にはコールドプルーム、ハワイやポリネシア、アフリカにホットプルームがあることがわかった。アフリカのものは東アフリカ大地溝帯に対応している。

・世界の造山帯

海洋プレートは生成と沈み込みによって古い部分を失っていくが、大陸地殻には約40億年前の岩石も保存され、大陸成長や変形のようすが記録されている。沈み込み帯や衝突帯などのプレート収束境界での褶曲や断層による激しい変形や、火成・変成作用を受けた地帯を造山帯と呼ぶ。古期造山帯は、パンゲア形成時の収束境界(グレートディバイディング山脈・オーストラリア)や、発散境界(スカンジナビア半島、ペニン山脈・イギリス、アパラチア山脈・アメリカ南部、ウラル山脈・ロシア)、テンシャン山脈・中国などが挙げられる。新期造山帯は、アルプス・ヒマラヤ造山帯および、環太平洋造山帯である。これらの地名は地理の範囲なので、覚えなくても良いが、イメージは持っておいて損はないだろう。

ヒマラヤ山脈の地層は、石灰岩や砂岩・泥岩から構成されており、アンモナイト(中生代)や、ウミユリ、三葉虫(古生代)の化石も見つかる。これにより、古第三紀にインド大陸がユーラシアに衝突するとき、インド大陸の浅海に存在した古生代の地層が8000m以上隆起したことがわかる。

・世界の古い地層

最古の岩石:カナダ東部で発見された42億8000万年前のもの。

最古の礫岩:グリーンランド南西部のイスア地方で発見された38億年前の礫岩。このお地方では枕状溶岩も見つかり、この年代にはすでに地球に海洋が存在していたことがわかる。
また、原核生物の化学化石(有機物質)も見つかる。

25億年前の酸化的環境を反映した地層:シアノバクテリアがつくった、CaCO3による層状の岩石であるストロマトライト、マグマから溶け出して大量に海中に存在していた鉄イオンが酸素と結合し、酸化鉄となり沈殿し、チャートが交互に堆積することで形成された縞状鉄鉱層など。チャートが堆積しているのは、当時は二酸化炭素が減少しており、全球凍結に向けて寒冷化していたことを反映している。

最初の真核生物:グリパニアは、肉眼で見ることができる最古の真核生物。約19億年前に現れた。

全球凍結の証拠:大陸上を氷河が移動する際に底面の岩盤が削り取られ、海底に堆積したドロップストーンが地層中にめりこむように見つかる。また、全球凍結を脱したあとは、平均気温が50℃〜60℃に達したとされ、雨水との反応による化学的風化、植物の成長による生物的風化、気温の急激な変化による物理的風化のいずれも促進され、大量の陽イオンが海に供給された。このため、氷河時代の地層の直上に炭酸塩鉱物が沈殿し、厚い炭酸塩岩層(キャップカーボネート)が形成された。

先カンブリア時代の終わり:オーストラリアのエディアカラ丘陵をはじめ、世界各地の約5.7億〜5.4億年前の地層から、肉眼で確認できる大きさの化石が見つかり、これらはエディアカラ生物群とよばれる。

侵食と堆積の関係

堆積物が堆積する量が最も多い場所は海底である。礫はほとんどが扇状地に堆積し、その後侵食されにくいので、三角州には砂や泥が多く堆積する。大陸棚や大陸斜面には海底谷や海底扇状地が川の延長線上に形成され、砂や泥の侵食と堆積が起こる。

陸から離れた深海底には陸由来の砂や泥が届かないが、陸上や浅海の生物の化学的風化による溶解物質や、風邪で運搬される砕屑物からなる深海粘土が堆積する。低緯度、中緯度域の浅い海域では、有孔虫(動物プランクトン)や石灰質ナノプランクトン(植物プランクトン)などの石灰質の殻が堆積する。しかし、炭酸カルシウムは水圧が増すほど飽和容量が大きいため、深海では炭酸カルシウムが堆積しないようになる。その限界の深度を炭酸塩補償深度(CCD)とよび、水深4000〜5000mとなる。
また、高緯度では栄養が豊富なため、ケイ質の殻をつくる放散虫(動物プランクトン)、ケイソウ(植物プランクトン)の殻がケイ質堆積物(チャート)となる。CCDの500m深い場所になると不飽和になるため、堆積しない。

こうして堆積した堆積物は、圧密作用と脱水作用、セメンテーション(間隙水に溶けていた成分からCaCO3やSiO2などが再結晶して堆積物粒子の隙間を充填する)などの続成作用を受けてはじめて堆積岩となる。生物遺骸の周辺ではセメンテーションが速く進み、硬いボール状の岩石(ノジュール)を形成することがある。

地震発生時に大陸棚や大陸斜面に堆積していた砂などが海底地すべりによって混濁流(乱泥流)となり深海底に再堆積する。こうしてできた単層をダービダイトといい、下部に級化構造(下ほど大きい)が見られる。

地質図

・地質図の描き方

①露頭の観察
表土や植生に覆われておらず、地層や岩石を観察できる場所を露頭という。侵食作用の強い海岸、河川、谷沿いや、人工的に表土が取り除かれる道沿い、採石場などでは露頭が観察しやすい。
②ルートマップの作成
地層の境界を見つけ、垂直面から傾斜の方角と角度を、地面から走向の方角を測定する。
・例
走向N30°W→真北から30°西に傾いた方向
傾斜45°W→西に対して45°傾いている
傾斜40°SE→南東に対して40°傾いている

③露頭線をつないで地質図を作る。

標高10mごとの走向線を水平面に投影したときの間隔xは、地層の傾斜角をθ°、地図上での10mの長さをdとすると、
x=d/tanθ
で表される。

例:観察地点の標高が10mのとき、その地点から走向線を引き、d/tanθ間隔で20m、30mの走向線を引く。そして、それらと20m、30mの等高線との交点をとり、それらを結ぶ。

・地質平面図の読み方

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