【13日目】1ヶ月で学ぶ高校地学【センター対策・火山と岩石】

はじめに

2021年からセンター試験に代わって導入予定の、大学入試共通テスト。どのように勉強すれば良いか戸惑ってしまいがちですが、地学に関してはその必要はありません。これまでのセンター試験でも、教科書の暗記にとどまらず、理解力を問うような問題が多数出題されています。大学入試共通テストの出題方針としては、「これまでのセンター試験における良問の蓄積をもとに思考力を問う問題を出題する」ということになっているので、過去問演習をなるべく多く行うことが、点数に繋がります。ここでは、11日目までに学習した地学の全範囲の中から、「どこまで理解していれば共通一次で点数に繋がるか」を意識して、より点数を意識した視点でこれまでの内容を再構築した知識をまとめていきたいと思います。

火山の形とマグマの粘性

中学受験の理科や、中学理科で習う地学範囲の中で、岩石の分類は知識の抜けが多い部分である。火成岩の中でも火山岩と深成岩3種類ずつを覚えるとともに、それらの粘性や含まれる鉱物を理解する必要がある。このとき、火山の形と岩石を対応づけると覚えやすい、と習った人も多いだろう。具体的には、平たい形の火山は溶岩の粘り気が弱く、玄武岩で構成されている、円錐形の火山は溶岩の粘り気が中間で、安山岩で構成されている、ドーム状の火山は溶岩の粘り気が強く、流紋岩で構成されている、など。玄武岩は有色鉱物を多く含んで黒い、流紋岩は無色鉱物を多く含んで白い、などと習った人も多いだろう。しかし、高校地学では、このような単純な覚え方が通用しなくなる。有色鉱物の黒雲母は、流紋岩に多く含まれているし、富士山から噴出される溶岩は玄武岩質である。つまり、玄武岩、安山岩、流紋岩と分けて覚えていた中学時代に対して、高校地学では、これらを連続的に捉えて理解することが求められてくるのだ。
以下では溶岩の粘性をもとに、噴火様式と火山の形を分類していくが、必ずしもこれらが対応しているとは限らない、ということを頭の片隅に入れつつ覚えてほしい。

アイスランド式:粘り気の小さい玄武岩質の溶岩流を噴出する。アイスランドは、プレート発散境界の中央海嶺が地上で見られることでも知られる。

ハワイ式(キラウエア、マウナロア、新富士山頂):粘り気の小さい玄武岩質の溶岩噴泉を噴出する。楯状火山を形成することが多い。世界最大の火山として知られるマウナロアは、体積が75000立方キロメートル(富士山の50倍以上)で、山裾は50km以上、山頂のカルデラは直径約5kmである。

ストロンボリ式(三原山、西之島、阿蘇山カルデラ内、富士山山裾):玄武岩質から安山岩質のマグマが、火山弾やスコリア(玄武岩または安山岩の多孔質岩石)を伴い間欠的に噴出する。数ヶ月〜数年に渡って続くこともあり、その場合はスコリア丘(単成火山)を形成する。

ブルカノ式(浅間山、桜島、阿蘇山など):安山岩質のマグマが、火山弾や火山灰、数kmの噴煙柱を伴い噴出する、爆発的な噴火。成層火山を形成することが多い。

プリニー式(有珠山、富士山宝永火口など):粘り気の強いデイサイト〜流紋岩質のマグマが、軽石(多孔質岩石)や火山灰、数十kmの噴煙柱を伴い噴出する、爆発的な噴火。宝永噴火は例外的に玄武岩質のマグマも見られた。

溶岩ドーム(昭和新山、箱根山中央火口丘など):火山から粘り気の強い溶岩が押し出されて隆起した地形。

水蒸気噴火(磐梯山、御嶽山、草津白根山など):マグマが地下水を熱することで急激に水蒸気を発生させて爆発する現象。

マグマ水蒸気噴火(古富士、伊豆大島南岸、男鹿半島マール群など):マグマが地下水や海水に直接触れることで、火山弾や火山灰を伴い爆発する現象。マールと呼ばれる、円形に噴出物が堆積した地形を形成することがあり、内部に湖ができることが多い。海水が浸入して湾地形になることもある。古富士は、頻繁な火山活動により玄武岩質のスコリアなどを積み重ねて、山体崩壊を繰り返しながら成層火山を形成したと考えられている。

ウルトラプリニー式噴火(姶良カルデラ、阿蘇カルデラ、支笏カルデラ、屈斜路カルデラ、鬼界カルデラなど):地下数kmのマグマ溜まりの減圧により、大規模なカルデラの形成を伴う噴火。カルデラ噴火、破局噴火とも呼ばれる。姶良カルデラ、阿蘇カルデラ、鬼界カルデラで起こったものでは、関東地方でも火山灰が数十cm積もり、鍵層(他の地層の年代を推定するための比較に用いる地層)となっている。

火成岩の化学組成

火成岩は比較的大きい斑晶と、小さい石基からなる斑状組織のため、含まれる鉱物の割合によって分類することが難しい。そのため、SiO2の質量%を用いて分類される。

①玄武岩:かんらん石や輝石が多く含まれ、斜長石はカルシウム質である。角閃石が含まれることもある。→対応する深成岩:斑れい岩

かんらん石:SiO4が独立。間にFe(2+)、Mg(2+)が任意の割合で配置される固溶体である。

輝石:SiO4のうち酸素2つが共有され、鎖状の構造。

②安山岩:カルシウムまたはナトリウム質の斜長石が多く含まれる。角閃石や輝石も見られる。→対応する深成岩:閃緑岩

角閃石:SiO4のうち酸素2つまたは3つが共有され、二重の鎖状の構造。

③デイサイト・流紋岩:ナトリウム質の斜長石、石英、カリ長石といったケイ長質鉱物を多く含む。黒雲母も見られる。→対応する深成岩:花崗岩

黒雲母:SiO4のうち酸素3つが共有され、シート状の構造。劈開性がある(はがれやすい)。

以下は、SiO4のすべての酸素が共有される、立体網目状の構造。
石英:ケイ素と酸素のみが含まれ、透明でガラス光沢をもつ。自形(鉱物本来の形)は六角柱状の形態をなし、水晶と呼ばれる。

カリ長石:石英と同じ構造だが、SiがAlに置きかわった長石のうち、カリウムに富むもの。

斜長石:長石の一種で地殻を構成するとともに、ほとんどすべての火成岩に含まれている。Ca(2+)とNa(+)が任意の割合で含まれる固溶体で、Ca(2+)に富むものは苦鉄質岩(玄武岩、斑れい岩)、Na(+)に富むものはケイ長質岩(流紋岩、花崗岩)、中間組成のものは中間質岩(安山岩、閃緑岩)に含まれる。

岩石の分類と成り立ち

火成岩

火山岩:上昇したマントルが地殻下部を部分融解して生じたマグマの結晶分化作用または、マグマが上昇するときに周囲の岩石を取り込む同化作用により生じる。スコリアや軽石として噴出することもある。
SiO2の組成が小さい順に、玄武岩、安山岩、デイサイト、流紋岩。
深成岩:地殻内を上昇するマグマがマグマ溜まりを作らず、ゆっくり冷え固まることにより生じる。等粒状組織をつくり、鉱物が自形、半自形、他形の順に成長する。この成長の順番は、圧力や温の条件により異なる。

変成岩

接触変成岩:マグマが貫入することで周囲の岩石が変成を受ける。砂岩や泥岩は、黒色で固く緻密なホルンフェルス、石灰岩は結晶質石灰岩(大理石)になる。
広域変成岩:大陸地殻下部で圧力を受けて鉱物を取り込みながら生成する。海洋プレート上部などの高圧(低温)条件では面状の片理が発達してはがれやすい結晶片岩、火山帯の地下などの低圧(高温)条件では片麻状組織(縞状の粗い組織)を示す片麻岩が見られる。

Al2SiO5は変成岩中に見られる。圧力と温度の条件により結晶構造が異なる多形である。

藍晶石は結晶片岩に、ケイ線石は片麻岩に、紅柱石はホルンフェルスに含まれることが多い。

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