【4日目】1ヶ月で学ぶ高校地学【火山と岩石】

火山(地学基礎)

・マグマの発生

マグマとは、マントルや地殻の下部が融解して液体になったものである。岩石が水分を含まないときと、水分を含むときではその融点が異なる。以下は、岩石が固体から液体(マグマ)に変化するための条件である。

①温度上昇(圧力は変わらず温度が上昇)
②減圧融解(温度は変わらず圧力が低下)

中央海嶺、ホットスポットではマントル自体が上昇によって圧力を低下させることでマグマが発生する。

③加水融解(水が加わることで融点が低下)

沈み込み帯では沈み込むプレートに引きずられてその直上のマントルも沈み込むことで、深部の高温マントルが斜めに上昇する(補償流)。さらに、プレートの温度、圧力が沈み込むにつれて増大することで含水鉱物が分解され、水が放出される。この2つの条件が揃ってマグマが発生する。

・マントルの上昇

マントルで発生したマグマは上昇し、その一部が地殻の下部を融解することで新たなマグマが生成する(初成マグマ)。
多くの場合で岩石は部分融解し、その融解の程度によって組成が異なる。ここで上昇するマグマの多くは噴出することなく地下で固化して深成岩となり、地殻を成長させる。

・マグマだまりの形成

地下深部で形成されたマグマは、周囲の岩石よりも密度が小さいため、それが釣り合うまで地下の浅い場所まで上昇し、マグマだまりをつくる。

・マグマの組成変化
①結晶分化作用

マグマの冷却により鉱物の結晶が析出することで、残りのマグマの組成が変化する。玄武岩質マグマの結晶分化作用によりケイ酸成分が増えると、安山岩、デイサイト、流紋岩の順に変化する。

②同化作用

マグマが周囲の岩石を取り込むことで、化学組成が変化する。

③マグマ混合

異なる化学組成のマグマが混合して、中間組成のマグマを生成する。(玄武岩質+流紋岩質→安山岩質 など)

・火山の種類

粘性が低く、穏やかな順に噴火の様式を並べる。

①アイスランド式

地表の割れ目から玄武岩質マグマが大量に噴出し、溶岩流となる。中央海嶺上にあり、かつ、ホットスポットであることからアイスランドではこの形の火山活動がよく見られる。

②ハワイ式

中心火口や割れ目火口から玄武岩質マグマが噴水のように噴出し、溶岩流となる(溶岩噴泉)。キラウエア、マウナロアなど。

③ストロンボリ式

粘性の低いマグマが火山弾スコリア(多孔質の軽石)として間欠的に噴出する。ストロンボリ島(イタリア)、伊豆大島、三宅島など。

④ブルカノ式

安山岩質の粘性の高いマグマが間欠的に爆発的噴火を起こし、火山弾、火山灰を噴出する。噴煙柱は高さ数kmに達する。ブルカノ火山(イタリア)、浅間山、桜島など。

⑤プリニー式

マグマが激しく発泡して様々な火山砕屑物(さいせつぶつ)と火山ガスを噴出する。噴煙柱は数十km(成層圏)の高さに達する。セントヘレンズ火山(アメリカ)、ピナトゥボ火山(フィリピン)、桜島の大噴火など。
デイサイト質、流紋岩質の粘性の高いマグマで起こりやすく、軽石や火山灰を噴出するが、富士山でも宝永大噴火として発生した。

これらの他に、マグマが地下水を熱して水蒸気になり、それが爆発的に噴出する水蒸気噴火(御嶽山など)や、マグマが地下水などに直接触れてマグマ由来の物質を含む水蒸気を噴出するマグマ水蒸気噴火などが挙げられる。

・複成火山と単成火山

前者は同じ火道で複数回の噴火により形成されたもので、後者は1つの火道につき1回だけの噴火で形成されたものである。

①複成火山による地形

溶岩台地
粘性の低い溶岩が広い範囲に流出してできた台地状の火山地形。デカン高原など。
楯状火山
粘性の低い溶岩が中心火道から繰り返し流出してできた、緩やかな傾斜を持つ火山地形。マウナロアは地球上で最も体積の大きい山であり、楯状火山である。
成層火山
中心火道から溶岩と火山砕屑物が交互に噴出して重なった円錐型の火山地形。
カルデラ
直径2km以上の火山性凹地形。環状の割れ目に沿って陥没した陥没カルデラや、環状の割れ目に沿って溶岩ドームが噴出したバイアス型カルデラなどがある。

②単成火山

溶岩ドーム
粘性の高い溶岩が噴出してできた急傾斜の火山。昭和新山など。

マール
水蒸気噴火、マグマ水蒸気噴火のような爆発的噴火により、噴出物が少ないわりに火口の大きな火山ができる。火口には水がたまっていることが多い。波浮港(伊豆大島南部)など。
火砕丘(スコリア丘)
火口の周辺に円錐台形に火山砕屑物が堆積してできた小型火山。阿蘇山米塚など。ストロンボリ式同様、玄武岩質のスコリアや、安山岩質の軽石を噴出する。

火成岩による地形

・火成岩の分類:カッコ内はSiO2の質量割合

超苦鉄質岩(〜45%):かんらん岩(深成岩)
苦鉄質岩(45%〜52%):玄武岩(火山岩)、斑れい岩(深成岩)
中間質岩(52%〜63%):安山岩(火山岩)、閃緑岩(深成岩)
ケイ長質岩
(63%〜70%):デイサイト(火山岩)
(70%〜75%):流紋岩(火山岩)
(63%〜75%):花崗岩(深成岩)

深成岩:マグマがゆっくり冷やされるので結晶が大きく、揃っている等粒状組織
火山岩:マグマが急冷されるので、結晶は小さい斑状組織。比較的大きい、固化する前のマグマに含まれていた斑晶と、マグマが急冷してできた細粒の結晶とガラス質の固体である石基により構成される。

・結晶の成長

鉱物がマグマの中で自由に成長すると、鉱物本来の形(自形)となる。自形の結晶が成長すると、部分的に自由な成長を妨げられた形(半自形)となる。最後に結晶化する鉱物は不規則な形(多形)となる。苦鉄質鉱物(有色鉱物)の割合を表すものを色指数といい、花崗岩、閃緑岩、斑れい岩の順に大きくなる(=黒っぽくなる)傾向がある。

・火成岩の露頭

水平面に対して大きな角度の割れ目をマグマが埋めると岩脈ができる。急激に冷やされるため、火山岩からなることが多い。周囲の岩石が風化や侵食で失われ、岩脈の部分だけ残ることがある。
また、水平に近い割れ目をマグマが埋めると岩床をつくる。マグマだまりが冷えてできた底盤のうち、大規模なものはバソリスと呼ばれる。
柱状節理:厚い板状の溶岩、岩脈、岩床が上下の面から冷やされることで、六角柱状の割れ目をつくったもの。
板状節理:岩体の水平面に発達した割れ目。溶岩の下底面、岩脈・岩床の境界部に見られる。
方状節理:花崗岩体によく見られる、さいころ状の割れ目。

・火成岩の分布

玄武岩はプレートの発散境界、ホットスポットの火山で見られる。日本でも伊豆弧の火山に存在する。
プレート収束境界の火山の大部分は安山岩から成る。デイサイトや流紋岩が見られることも多い。
かんらん岩は上部マントルを構成する。日本では日高山脈のアポイ岳に露頭が見られる。
斑れい岩は大陸地殻下部や海洋地殻を構成する。室戸岬に露頭が見られる。
閃緑岩は丹沢などに産出される。花崗岩は大陸地殻上部を構成する。

・火成岩の色

流紋岩やデイサイトのうち、結晶構造をもたないガラスのみからなるものは黒く、鋭い破断面を示す黒曜石と呼ばれる。
花崗岩は白色だけではなく、粒が細かいとグレー、ピンク色の長石が多く含まれると赤味を帯び、海外から輸入される形成年代が古いものは、鉄などの沈着により褐色のものもある。
斑れい岩は、日本で産出するものは長石の占める割合が多く、白っぽい。

・変成

もとの岩石(原岩)が形成時とは異なる温度・圧力のもとで、大部分が固体のまま組成や結晶が変化することを変成作用、それにより生じた岩石を変成岩という。
鉱物が一定方向に配列して面状、線状の構造(片理)をもち、薄く剥がれやすい変成岩を結晶片岩、縞状(片麻状)組織をもち、鉱物の粒度が荒い変成岩を片麻岩という。前者の結晶片岩は、三波川変成帯(白亜紀〜古第三紀付加体を原岩とする変成帯)などの高圧型変成帯で見られる。後者の片麻岩は、阿武隈帯(白亜紀〜古第三紀の花崗岩バソリス形成に伴う変成帯)などの低圧型変成帯で見られる。

広域変成岩
プレート境界付近の温度・圧力変化により生成されるもの。
接触変成岩
マグマの貫入により、マグマが接触する部分の岩石は変成する。泥岩や砂岩は、緻密で硬いホルンフェルスに、石灰岩は、再結晶した荒い方解石からなる大理石に変化する。

温度・圧力により岩石に含まれる変成鉱物の安定な組み合わせが存在する。これを変成相という。

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