【1日目】1ヶ月で学ぶ高校地学【太陽系】

太陽系の誕生(地学基礎)

太陽系は、銀河系の片隅に位置する。46億年前、ガスや塵などの星間物質の密度が高い部分で、恒星が誕生しやすい部分である星間雲において原始太陽が誕生し、周囲にはガスや塵からなる円盤状の原始太陽系星雲ができた。この成り立ちは、現在水星から海王星までの公転面がだいたい一致していることや、地球の北極上空から見たときの公転方向がすべて反時計回り(太陽の自転方向と一致)になっていることに関係している。

(1)原始惑星の誕生

原始太陽系星雲は太陽の赤道面に集まり、分裂・衝突により微惑星が誕生する。氷粒子が存在できる限界(雪線)より内側では岩石主体、外側では氷主体となる。前者は、比較的小さな地球型惑星、後者は、比較的大きな木星型惑星となった。

(2)木星型惑星

原始木星・土星は、周囲に取り込める微惑星がなくなると周囲のガス(水素・ヘリウム主体)を引きつけ、巨大ガス惑星へと成長した。天王星と海王星は、ガスを集めることができる大きさに達するのが遅かったため、あまり大きくならなかった。全ての惑星が磁場を持つ。

・木星

太陽系最大の惑星。東西方向に、温度の違いによる縞模様、大赤斑などの渦が表面に見られる。地球の2万倍の磁場を持つ。

・土星

氷を主成分とする巨大な環を持つ。土星の公転軌道面から約26.7°傾いているため、土星の環の傾きは、公転周期(29.5年)の半分である15年周期で変動するように見える。平均密度は太陽系最小の0.69g/㎤。

・天王星

自転軸が98°傾いており、公転軌道面と平行になっているため、極地方では、公転周期(84年)の半分である42年間昼または夜が続く。天王星と海王星は、水素・ヘリウムの層の内側にメタン、水、アンモニアが含まれる氷の層が存在する。

・海王星

表面に多く存在するメタンのため、青く見える。大気活動は活発で、暗斑、白斑の出現、消失がよく観測される。

・ガリレオ衛星(イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト)

イオは、木星からの強い潮汐力を受けながら楕円運動しているため、潮汐力の変化により内部が加熱され、火山活動が激しい。エウロパは、表面がH2Oの氷でできており、地下に海が存在すると考えられる。

・タイタン

土星の衛星。メタンの循環が起こっており、メタンの川による地形が表面に存在。厚い大気に覆われている。

・エンケラドス(エンセラダス)

土星の衛星。地下の浅いところに90℃をこえる内部海があると推測され、南極付近では氷が噴出している。生命存在の可能性。

・太陽系外縁天体

冥王星型天体、エッジワース・カイパーベルト、オールトの雲における小天体が含まれる。冥王星の衛星であるカロンはH2Oの氷、冥王星の、カロンと反対側の表面には窒素、一酸化炭素の氷が集中している。

・彗星

周期が200年以下の短周期彗星は、太陽の赤道面に近い楕円軌道を持ち、円盤状のエッジワース・カイパーベルトが起源とされる。周期が200年以上の長周期彗星は、軌道面が様々で、球状のオールトの雲が起源とされる。

彗星の本体は、氷と塵からなるで、その揮発性成分による一時的な大気である、コマが周囲に形成される。コマのガスが太陽風により太陽と反対方向に吹き飛ばされて、イオンのを、また、塵が核と異なる軌道に移り、塵の尾を形成する。

(3)地球型惑星
・流星

周期彗星の尾の中を地球が通過することで、流星群が見られる。数㎝より小さい塵が流星として観測され、大気中で蒸発する。これより大きいものは火球と呼ばれ、さらに大きいものが隕石として落下することがある。また、塵が黄道面で太陽光を散乱し、黄道に沿う淡い光の帯を形成する黄道光も見られる。

・隕石

コンドライト
コンドリュール(ケイ酸塩からなる直径1㎜程度の球状粒子)が含まれる。熱による変成を受けておらず、太陽系形成時から化学組成が変わっていないことから、太陽系の元素の存在度を推定できる。
エコンドライト
コンドリュールの見られない石質隕石。母天体の表面で熱による融解を受けて分化したものである。
石鉄隕石
鉄ニッケル合金とケイ酸塩鉱物が混合している。小天体の核とマントルの境界で形成されたと考えられる。
鉄隕石
分化した天体の金属核が起源。天体が徐々に冷却した場合、断面にウィドマンシュテッテン構造(ニッケルの結晶構造)が現れる。

・小惑星

イトカワ(はやぶさによる探査)、リュウグウ(はやぶさ2による探査)などは近地球小惑星である。多くの小惑星は火星と木星の間の小惑星帯に存在するが、その外側にも木星トロヤ群小惑星が存在する。

・水星

大気がほとんどなく、昼の表面温度は400℃、夜の表面温度は-200℃となっている。比較的若いクレーターには、放射状に明るい筋が広がり、光条クレーターと呼ばれる。内部の冷却に伴う収縮で断崖が形成される。

・金星

二酸化炭素を主成分とする厚い大気に覆われ、表面温度は460℃に達する。高度45〜70kmに濃硫酸の雲があり、高速で移動している。この動きは、紫外線による観測でわかる。
表面の60%は溶岩に覆われた平原で、数億年前には表面の大部分が溶岩で埋め尽くされていたと推測される。今も火山活動が続いている。このことは、レーダー観測によってわかる。

・火星

二酸化炭素を主成分とする薄い大気を持ち、表面は酸化鉄を多く含む岩石で覆われている。極冠は二酸化炭素の昇華によるもので、夏期には大気圧が約25%増加する。また、大気の薄さによる昼夜の温度差も大きく、砂嵐がしばしば引き起こされる。
水によって形成された地形が表面に見られたことから、かつては大量の水があったと考えられる。プレート運動がないため、オリンポス山のような巨大な火山が存在する(重力の小ささも影響)。かつては核の流動により地球や水星のような磁場が存在した。
大気中の微粒子は地球のものより大きく、波長の長い赤、黄色の光を散乱しやすい。そのため、青い夕焼けが見られる。

・地球

月程度の大きさになると衝突によるガスを保持することで、H2OやCO2の大気を形成した。火星程度の大きさになると衝突によるエネルギーで表面が高温になり、マグマオーシャンを形成し、岩石成分と金属成分が分離される。この頃に、同程度の大きさの天体の衝突により月が形成されたと考えられる。微惑星の衝突の頻度が少なくなると表面温度は低下し、大気中のH2Oが凝結するため、原始海洋を形成した。CO2はそれに溶け込み、温室効果が薄れるため、マグマオーシャンの上層部は固まり、地殻を形成。月も同様の構造を持つ。

1日目まとめ

地球に生物が存在できた背景には、水が液体として存在できる領域(ハビタブルゾーン)に位置していることのほかに、プレートテクトニクスを開始するために必要な程度の大きさを持っていたこと、外核の流動により磁気を持ったこと、月による潮汐があったことなど、複数の要因が関係しています。これらに着目して、各惑星の特徴を説明できるようになると良いでしょう。明日は、地質時代に沿って地球の歴史を見ていきます。地質時代の覚え方も必見です。

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