【6日目】1ヶ月で学ぶ高校地学【地層と地質】

地層の成り立ち

・地層とは

堆積岩が層状に重なったもの。それぞれの地層を単層といい、上下に重なる層序という。単層と単層の境界面を層理面といい、地層の断面では層理として筋が現れる。また、単層の内部には葉理(ラミナ)として、砕屑物がたまるときの細かい筋が見られる場合がある。
多くの地層では上の地層ほど新しいが、その原則を地層累重の法則という。地層の堆積が時間的に連続しているとき、整合といい、途中に時間的な断絶が見られる場合、その上下の地層の関係を不整合という。
水中で地層が形成された後、海退により地層が地表に露出すると、侵食により表層の地層は失われる。再び海進により地層の堆積が開始すると、その部分は不整合面となる。特に、海退時に地層が傾いた場合は傾斜不整合、そうでない場合は平行不整合となる。不整合の部分には基底礫岩として侵食された地層の跡が見られる。

・海底の地形

河川の延長となる部分では、大陸棚および大陸斜面に対して侵食が起こり、その部分を海底谷という。大陸斜面から深海平原へと抜ける部分には海底扇状地が形成される。

・堆積物重力流

水中で水と土砂が混合されて移動する流れのこと。堆積物の濃度が高いと水中土石流として、粘性の高い流れによって厚い堆積物を残す。地震発生時には海底地すべりによって、濃度が低い混濁流(乱泥流)として、広く薄い堆積物(タービダイト)を残す。

・海進と海退

地殻変動による海水準の上昇、低下によってのみ海進、海退が起こるわけではない。山地から河口に到達する堆積物の量が多いと、海水準が上昇していたとしても三角州が前進して海岸線が埋め立てられていく。この場合も海退と呼ばれる。

・断層と褶曲

断層面が傾斜しているとき、上側の地層が相対的に下方にずれていると正断層、情報にずれていると逆断層ということになる。
水平方向に圧縮する力によって褶曲が形成されたとき、上に凸の部分を背斜、下に凸の部分を向斜という。この部分を垂直に貫く面を背斜軸面、向斜軸面といい、地層との交点を背斜軸、向斜軸という。また、層理面との交点を褶曲軸といい、この褶曲軸が水平状態から傾いたものをプランジ褶曲という。
活褶曲:現在も圧縮により形成が続いていると考えられる褶曲。

・ナップ

水平面から45°以下の傾斜の逆断層を衝上断層、水平方向の圧縮が強い場合に背斜と向斜がくっつくほど折りたたまれたものを横臥褶曲という。これらの構造の上盤部分をナップという。

・堆積構造

衝上断層や褶曲がある場所では、地層が上下反転している場合があるので、地層中の構造によって堆積の順番を判定する。

①リプルマーク(漣痕)

水流や波により堆積物の表面に波模様ができ、その上に別の堆積物がのると、それが残される。波がとがった方が上位とわかる。

②クロスラミナ(斜交葉理)

堆積時または、まだ固結していない段階では、水流による縞模様(葉理)ができる。これが層理面に対して斜めに形成されるクロスラミナにより、形成された方が上位、形成されなかった方はすでに地下にあって侵食を受けなかった下位ということがわかる。

③級化成層

乱泥流においてさまざまな粒子が混ざった砕屑物が短時間で堆積するとき、粒子サイズの大きなものが速く沈むため、単層中の上位ほど細粒な構造となる。

④インブリケーション(覆瓦構造)

粒子の面積の広い面は、流れの上流を向いて堆積する。これが広範囲にわたると、その時点での上流・下流の向きが判別できる。

⑤流痕

物体が引きずられた痕をグルーブマーク、水流によってえぐられた部分に堆積物が新たに堆積したものをフルートマークといい、出っ張った方が下位とわかる。

⑥荷重痕

未固結の地層の上に別の地層が堆積したとき、境界が重みにより不規則になった構造。

⑦生痕化石

生物の巣穴や這い跡が地層中に保存されることがあり、その凹凸や年代、環境により地層の上下が判定できる。

・さまざまな化石
①体化石

生物の体の全部または一部が残った化石。硬い組織である骨、歯、鱗、卵の殻、貝殻、甲羅などの、CaCO3やエナメルからなる部分は残りやすい。虫入り琥珀や冷凍マンモスなどのやわらかい組織など、堆積物、永久凍土、樹脂などに急速に埋没すると、分解が進まなくなり化石となることがある。また、石化していない化石もある。

②生痕化石

恐竜の足跡、虫の巣穴、這い跡、根の痕跡などお、古生物の活動が痕跡として残ったもの。その地層ができた当時の生活環境や、生物の行動を知る手がかりとなる。

③化学化石

炭化水素、アミノ酸、DNA
おいて、特定の生物に特徴的なものを調べることで、起源となった生物を推定できる。

④置換化石

アンモナイトの殻の炭酸カルシウムが黄鉄鉱に置換されるなど、もとの成分が別の成分に置換された化石。

⑤印象化石

古生物の遺骸自体は保存されず、その形態の鋳型だけが残った化石。

・微化石

大きさ数mm以下の化石で、それ自体が堆積物を構成するため、良好に保存されることが多い。
有孔虫:石灰質の殻をもつ。浮遊性のものは示準化石、底生のものは示相化石として有用。
渦鞭毛藻:2本の鞭毛をもつ単細胞生物。セルロースでできた硬い殻をもつ。
放散虫:アメーバ状の体の中に、ガラス質の骨格をもつ。ケイ酸質の殻をもつ。
ケイソウ:ケイ酸質の2枚の殻をもつ。海洋・淡水両方の水域に分布。
花粉:多細胞生物由来の微化石は、化学的に安定な有機物からなるため、化石として残りやすい。

地質図

・地質の調査方法

地表踏査による露頭観察のほかに、ボーリング調査によるコアの採取や、貫入に必要な力・打撃回数(N値)の測定、反射法地震探査における反射波の測定によって地下構造を探査する。
露頭の観察により、走向(層理面と水平面との交線の方向)、傾斜(層理面と水平面とのなす角)、傾斜の方角を測定する。これを複数箇所で行うことで地質図、地質断面図を完成させる。

・地質柱状図

露頭やボーリングコアの観察結果を1本の柱のような図で表したものを地質柱状図という。地層の厚さ、侵食の強弱、地層に含まれる砕屑粒子の特徴、単層中の堆積構造の特徴、鍵層(地層の対比の決め手となる火山灰層や、示準化石が含まれる地層)、化石(微化石含む)などの採集・記入を行う。

・火山灰鍵層による地層の対比

3万年前に噴出した姶良Tn火山灰は日本の多くの場所を覆うため、その地層を基準に地層の年代がわかる。

・示準化石による地層の対比

秩父帯の地層は、かつては古生代の地層と考えられていたが、1970年代以降、岩石をフッ酸により溶かして放散虫を取り出すことができるようになると、それまで化石がないと考えられていた泥岩、チャートから多くの放散虫化石が発見され、それに続いて武甲山で三畳紀の貝化石が発見されたため、秩父帯は中生代のものとなり、研究が大きく進んだ。これを放散虫革命という。

・放射性同位体の測定

放射性元素を利用して測定した岩石や化石の年代を数値年代という。元素番号が大きいものは、岩石や鉱物など、1000万年以上の年代のものを測定できる。
放射性炭素法では10万年以下の生物遺骸の年代を測定できる。

・フィッション・トラック法(FT法)

ウラン238は自発的に核分裂を起こし、その際、鉱物中に傷(トラック)を残す。研磨と化学処理により傷を観察すると、鉱物が古いほど多い。これにより年代を測定でき、フィッション・トラック年代として数万〜数億年の年代が算出できる。

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