東京近郊区間大回りの思い出

 2014年の年末年始の報道バラエティ番組で、大回りが特集されていました。思えばあれが私が鉄道に興味をもった要因となりました。実は幼稚園の頃は父親に連れられて東京の鉄道に乗せてもらう機会が多かったため、その頃に「乗り鉄」をした経験が体に染みついていたのかもしれませんが、実は小学生の頃は鉄道からの興味は遠ざかっていました。丁度その時期に中央線の201系が引退するなどしていましたが、私が興味を持ったのは新型車両のE233系でした。そして、その時期はブルートレイン末期とも重なっていたため、当時鉄道を趣味としていたら良かったという後悔もありつつ、現在は立派な乗り鉄になっています。

大回りとは

 詳しくは他の記事で説明しようと思いますが、簡単に説明したいと思います。東京近郊区間、大阪近郊区間など、「近郊区間」に含まれる特定の路線内において、ある区間の切符を購入したとき、最短ルートではないルートで乗車しても、それが一筆書きのルートであれば、最短経路の運賃(つまり購入したときの運賃)で乗車が可能である、という制度を利用した乗車を、大回り乗車と呼びます。この制度によって例えば、東京から新宿まで移動するときに最短経路を通る中央線ではなく、山手線で行くことも可能になるというメリットがありますが、それを利用すれば、一筆書きのルートをより複雑にすることによって、「乗り鉄」にとっては得にしかならない、というルールです。

2014年: 一通り大回りできる区間を完乗する

 2014年に大回りの特集が組まれていたのを見た以降、1か月に一回くらいのペースで自分も実際に大回りをしました。両毛線、相模線、水戸線、房総半島など、大回りで乗れるような路線に一通り乗車しました。このときは、今まで父親と遠出するときに青春18きっぷを使っていましたが、それに匹敵する長旅を、安くて140円でできるという魅力に取りつかれました。そういえば昔は130円でしたが、消費税8%増税をきっかけに初乗り運賃が140円になっていましたね。

2015年: 列車に乗る目的が「撮り鉄」に変わる

 大回りを頻繁にしていた2014年に私はTwitterを始め、鉄道を趣味としている人たちを主にフォローしていました。その影響で周囲は撮り鉄でもあったため、2014年末には、2015年に廃止となるトワイライトエクスプレスの写真をTwitterでよく見るようになりました。トワイライトエクスプレスといえば、私が子どもの頃に図鑑でよく見ており、その列車が今廃止されようとしている、ということで、撮りに行かないわけがありませんでした。そこで、2015年1月に、富山県に日帰りでトワイライトエクスプレスを撮りに行きました。そして、それだけでは飽き足らず、2015年2月には糸魚川市に、これまた日帰りで撮影に行きました。その他にも、8月に北斗星が廃止になるということで、1週間北海道に撮影に行くという計画を立てました。とは言え、ずっと北斗星(とカシオペア)を撮影しているわけでもなく、撮影のついでに宗谷本線や花咲線、留萌本線などに乗車しました。当時は全国の鉄道乗りつぶしというのも趣味の一つでした。しかし、2015年ということで、それを境に撮り鉄としての被写体は減る一方でしたから、自然と乗ることを趣味にせざるを得なくなり、今では私は立派な乗り鉄です。

2016年: 大阪近郊区間での大回りをする

 もともと大回りというのは、東京や大阪のように経路が複雑な範囲において、運賃計算を分かりやすくするためにそうせざるを得なかったものでありますから、当然大阪でもできました。2016年2月に入試休みを利用して、2泊3日、往復夜行バスの弾丸旅行を決行しました。天王寺には早朝に着き、そこから放出まで、奈良線、桜井線、おおさか東線などを利用して大回りをしました。そして放出でEF81牽引の貨物を撮ったり、一旦新大阪に移動してEF65牽引の「特別なトワイライトエクスプレス」を撮影したりしていました。そして、新大阪から大阪まで、阪和線、和歌山線、学研都市線などを経由して二度目の大回りをしました。1日しか大阪に滞在できない都合で、加古川線や福知山線などは回れませんでした。最長大回りをしても良かったのですが、それだと高田あたりに未乗区間が残ったでしょう。加古川線や福知山線、そして草津線や湖西線などもそうですが、後日乗車しました。おかげで、関西の大回りで乗れる区間はおそらく完乗することができました。

2017年: 三週連続大回り

 2017年は受験勉強の年でした。塾は土曜日にもあったのですが、6月になって土曜日の塾に行きたくなくなり、三週連続、同じ時間の列車で、水戸線、両毛線、八高線を乗り通す、ということをしていました。さすがに受験生として最低限のことはしておこう、ということで、車内では、本来塾に行ったら習っていた範囲を、独学でテキストを読んで勉強していました。

2019年: 大回りし過ぎ…

 2018年は大回りする機会がありませんでしたが、2019年になって、再び大回りをするようになりました。私はここ最近毎日ブログを更新していますが、そのブログも大回り中に車内や、エキナカの店で書いています。八高線の2人掛け対面式ボックスシートや、両毛線のロングシート、小山駅や川越駅の駅構内にあるコーヒーショップなど、書ける場所はいくらでもあります。大回りに慣れ過ぎて、列車の乗り継ぎなども無意識レベルでできる域にまで達してしまいましたが、やはり、鉄道に乗りながら趣味であったり、勉強であったりをできるというのは自分の理想的な生活でありましたし、それを最低140円から、まとまったお金を用意することなく手軽にできるという状況を実現した大回りには感謝しています。2016年とか2017年において、受験勉強で病んでいた時期に、大回りをすることで気分を落ち着けていたのも思い出します。

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