新門司に到着
阪九フェリーは、15時間ほどの長旅である。そのため、私のように目覚まし時計が無いと起きられない人が、目覚まし時計を掛けずに眠っても、船が着く前に目覚めることができる。今回は、21時頃に眠った後は、1日目の早起きを癒すかのように熟睡し、5時半に目が覚めた。まだ下船の準備には早い。6時になるとレストランが開いたため、蕎麦(400円)を食べに向かった。少々高いし、他の客も少なかったが、鉄道の乗り継ぎの都合上、船内で朝食を済ませてしまった方が気が楽なので、空腹に任せて食べてしまった。
九州北部は雨が降ったり止んだりの気候だった。私が行った2019年9月1日の数日前には佐賀県が豪雨に見舞われた。風評被害により武雄温泉や嬉野温泉などではキャンセルが相次いだようだ。社員旅行でキャンセルというならまだわかるが、個人旅行でキャンセルする人がいたとすれば、報道機関の策略は大成功と言えるだろう。豪雨の被害を不必要に拡大して報道することで、被災地にこそお金は還元されないものの、スポンサーにお金が行き渡ったことだろう。
バスで小倉駅まで行っても良かったのかもしれないが、門司駅の到着が思ったよりも遅かったため、安全を見て門司駅から鉄道に乗った。いずれにせよ小倉で区間快速南福岡行に乗り換えとなる。
戸畑駅からは若戸大橋が見えた。若戸航路には5日目に乗る予定である。つまり今回九州に来た目的は、九州一周だ。
難なく博多に着いた。ここで荒尾行に乗り換える。今日の目的地は長崎・佐世保である。
長崎本線というのは、乗り鉄には知られているが難しい路線となっている。肥前山口から有明海沿いを経由して諫早へと向かう区間は、普通列車の本数が少なく、特急がメインである。そのため、青春18きっぷ利用者は、佐世保線で早岐へ向かい、大村線を経由した方が長崎に早く着くことができる場合が多い。今回私は、大村線での撮影を行うため、当然ながら後者のルートを選択した。
大村線の南風崎駅に着いた。ここでは上下の列車が一時間に一回交換する。本日は、その交換の際に国鉄色編成の並びが見られるという情報をネットで知り、それをカメラに収めようとした。南風崎駅近くの食堂で、長崎県名物「皿うどん」を食べた後、撮影に出向いた。同業者は0人、本当に国鉄色の並びが撮れるかはまだ分からない。
踏切が鳴り始めた。大村方面から来る車両、これが国鉄色であれば、国鉄色の並びをカメラに収められる。早岐方面から来る車両が、国鉄色先頭であることは、先ほど南風崎駅で降りたときに交換した列車であるため、既に分かっていた。
国鉄色が踏切を越え、南風崎駅へと滑り込む。嬉しさを抑えながら、早岐方面からの列車を待つ。
天気には恵まれなかったが、全国で見る機会の減ってきた国鉄色を、カメラに収めることができて良かった。
ここからは長崎の夜景を撮るために西浦上駅を目指した。長崎本線の旧線は、原爆投下の日に長与方面から救援列車が向かったことで知られている。西浦上駅から浦上駅方面に少し行ったところに、照圓寺がある。そのあたりまで線路が残っていたそうで、そこから負傷者を列車に乗せ、諫早方面へ向かったという。
夜景は、岩屋山の登山道の途中で撮影した。稲佐山からの「百万ドルの夜景」ほどではないが、長崎特有の地形を感じられる夜景をここからも撮影できる。
西浦上駅付近の食堂で夕食を済ませ、佐世保行の列車に乗った。佐世保には個室ブースのある快活クラブがあるため、終点まで乗車した。佐世保中央までは1㎞ほどあり、長い商店街を抜けないといけない。足が筋肉痛気味だったため、佐世保中央駅まで170円で松浦鉄道に乗車した。そして、快活クラブの個室に入り、明日も続くネットカフェ生活に備えて眠った。