冬の北海道を歩く 1日目 (2019-02-18)

はじめに

 2018年10月以来の更新となりました。更新が途絶えた理由としては、秋学期に自動的に履修登録がされた科目のうち一つを中間試験の時期直前まで見落としていて、そのリカバリーを行ったこと、また、週一作品の提出義務が課されている科目を取ったために、更新するタイミングが無かったことが挙げられます。前者については、見落としていた科目を教えてほしいという友人の言葉を聞いて初めて気がつきました。後者については、寝る間も惜しんで、という段階まではいきませんでしたが、時に手抜きをしつつ、という感じで乗り越えた結果、すべての登録科目について単位を取得することができました。来年度はその反省を活かし、履修登録には万全を期すとともに、取る科目については、みんなが取っているからといった軽率な理由ではなく、自分の将来やりたいことと照らし合わせて、熟慮を重ねたうえで決定していきたいと思った次第です。
さて、長くなってしまいましたが、今回は紀行文という形式で北海道旅行を振り返っていきたいと思います。

「さっぽろ麺まつり2019」

 今回の旅行では、裏テーマを「本場のラーメンを堪能する」として、三食ラーメンという目標を掲げた。しかし、実際にそこまで上手くラーメン屋にありつけたかといえばそうでもなく、昼食抜きの日もあった。要は、3泊4日の弾丸旅行である。この日程で私は、旭川、層雲峡(上川)、北見、札幌、小樽を訪問した。ANAの旅作で、2018年9月に発生した胆振東部地震の復興支援として割引がされ、ホテル代と往復の航空券代が合わせて19500円という魅力的なプランがあったため、それを利用させていただいた。ホテルは指定された中から泊まりたいホテルを選ぶというもので、1泊目は旭川市街地、2泊目は層雲峡、3泊目はすすきの、という選択にした。ところで、今回訪問した場所の中に北見とある。それに関しては、2泊目に宿泊した層雲峡から、3日目にバスで北見まで行き、網走、釧路、帯広を経由して札幌までその日のうちに行くという、他に誰も選ばないであろうルートをとった。もちろん冬の北海道ということで、網走と釧路を結ぶ釧網本線の運休の可能性も頭に入れていた。しかし、4日間の日程で大雪に降られたことは無かった。大雪さえなければ、冬の北海道を普通に観光する分には恐るるに足りないのであった。

初の冬渡道

 往路は、羽田-旭川のAIR DO便に搭乗した。ANAとのコードシェア便のため、ANAマイルユーザーにも嬉しい。往路に関しては、仮に大雪となっても、旭川空港は欠航率が低いというイメージがあり、着陸も心配ないだろうと踏んでいた。関東平野は安定の晴天。冬は北国と呼ばれる豪雪地帯を除いて、日本はどこでも晴れているのではないかと勘違いしそうになるほどである。しかし、一つ山を越えれば雲に覆われた世界である。飛行機に乗っていると東京の気候の特殊性が良く分かる。一旦津軽海峡から胆振地方にかけて眼下の雲は晴れたのち、旭川到着直前には雲が復活し、着陸態勢に入るときになってその雲に機体は突入した。さて、現地の天候はどうだろうか。

 旭川の天候は安定していた。晴れ間も見える。どうやら計画はうまく行きそうだ。1日目には、徒歩の行程を多く組み込んでいたのだ。
 旭川空港の到着ロビーにて、旭川駅までの料金が書かれたバスのチケットを券売機で買い、早速外気に触れた。感想としては、「ひんやり」である。気温計は氷点下3度を表示していた。ただ、何となく今まで経験してきたものとは「質の違う」寒さという感じがした。

川村カ子ト記念館

 空港バスは30分ほど走って旭川駅に着いた。石北本線の時間まで2時間ほどあったので、1か所くらいは観光しようと、「川村カ子トアイヌ記念館」を訪問した。観光客は自分を除いて一人もいなかった。平日の朝だから、当然といえば当然だ。館内では、伝統的なアイヌの人々の暮らしと、川村カ子ト(かわむら かねと)というアイヌ人測量士として南信地方の鉄道敷設に大きく関わった人物の紹介がされていた。川村カ子トは現在の館長の父親にあたり、旭川の開拓により農業にあまり適していない土地での農業を強いられていた昭和時代初期、測量士として就職することにより生計を立てようとしていたようである。飯田線の前身である三信鉄道は、天竜川に沿う計画のもとで、急峻な地形の中を通すことを強いられた。そのため、日本人技師の手では困難だった測量も、アイヌ人技師は可能だったのである。というのも、アイヌの伝統的な暮らしでは、男は狩りに出かけていたため、山には慣れていたからであろう。こうして三信鉄道の測量に尽力した川村カ子トは、その後旭川に戻り、父から記念館を引き継いだ。今の館長はすなわち3代目である。私はここで、アイヌの伝統が観光資源へと昇華されている様子を目の当たりにした。
 さて、一通り見終わったところで、旭川駅に向かうバスの停留所へ早めに向かわなくてはならない。その停留所までの道程で、通り雨ならぬ「通り雪」に降られた。ここで最初で最後の耳当て付き帽子の出番だ。これ以降は札幌で深夜にラーメンを食べに行くときを除いて雪には降られなかったので、使う機会はなかった。

冷えるのは足から

 旭川駅で蕎麦でも食べようかと思っていたが、立ち食い蕎麦が見当たらなかった。以前2015年の夏、宗谷本線に乗ったときに旭川駅改札脇に蕎麦屋があって、そこで食べた気がするが、記憶違いだろうか。併設された商業施設内にはレストランがあるようだったが、乗車する列車の発車時刻まで10分ほどだったので、昼食そのものをあきらめた。
 石北本線に乗って30分弱で当麻駅に着いた。目的は他でもない、冬になると石北本線および宗谷本線を走行するラッセル列車の撮影である。桜岡駅・当麻駅間の撮影地には、基本的に線路に並行する道なりに進めばたどり着ける。しかしやはり冬の北海道、道なりとは言っても一筋縄には行かない。

 旭川空港からのバスでも見かけたのだが、このように歩道と車道との境界に目印がある。車道を歩くには路面の凍結と対向車に気をつけないといけないが、歩道を歩くには積雪の比較的浅い箇所を見つけながら歩く必要がある。いずれにしても慣れなのだが、路面が凍結しているだけなので、車道の方が歩きやすいのは確実である。対向車についても、直線道路が多く、車の姿が見えてからこちらとすれ違うまでには、歩道によけるだけの十分な時間があるので、心配はない。
 雪道の歩き方にも慣れてきたところで、撮影が可能な場所を見つけた。何しろ晴天なので、雪掻きしている様子は撮れないだろうと考え、車両を際立たせようと考えていた。

桜岡・当麻間

 やはり横アングルは難しい。日の丸構図が功を奏することだって滅多にない。
 さて、気を取り直して、宗谷本線北永山駅周辺に徒歩で移動する。宗谷本線が見えてくる直前に、大雪国道を横断したのだが、路面が凍結した雪で全く覆われていなかった。交通量の多さを物語っている。乗用車だけではなく、永山の貨物ターミナルに向け、JR貨物のコンテナを載せたトラックがひっきりなしに通っているのだ。程なくして踏切脇の撮影地に到着。

北永山・南比布間

 踏切側ではラッセル車は雪掻きをしないため、1枚目のように望遠をきかせないとラッセル車らしさが出ない。本当に良い写真を撮るには、宗谷本線の名寄以北でないとならない。ラッセル車が来年も走ることが確定した暁には、自動車免許を撮りたいと思う。
 16時も過ぎ、寒くなり始めた。大雪国道でひたすら旭川行のバスを待つ。個人的な体質かもしれないが、空腹時に寒さを感じやすい。昼食抜きがここに来て響いた。防寒対策は、厚手の靴下とブーツのみである。条件がそろって暖かい時期に来れたから良かったものの、条件が整わない限りは、やはり靴下の重ね履きは必須となるだろう。

 やがて、旭川行きのバスが来た。大雪国道沿いから集めてきた人たちを乗せたバスは、席が埋まっていた。永山を進むうちに、次第に席を立つ人が出てきて、私も席につくことができた。

旭川ラーメン@らーめんや天金

 バスでは疲れと暖かさから旭川駅到着直前まで爆睡した。チェックインを済ませ、夜(と言っても午後6時くらい)の旭川に繰り出す。醤油ラーメンを食べるために、「らーめんや天金」を訪れた。食べログの評価が3.59と高く、行列も覚悟したのだが、店内には2グループほどしかいなかった。トッピングを野菜、チャーシューにして頼み、待っているときに壁に芸能人のサインが沢山貼られていることに気がついた。

チャーシュー麺(醤油)・野菜トッピング

 普段細麺を食べない私の感想としては、麺があまり小麦感を主張して来ず、豚骨ベースの美味いスープを吸い込んでいることから、最後まで飽きずに食べられた。美味い美味くないの基準は、昔から最後まで飽きずに食べられるかどうかで決まると思っている。
 そして、やはり食べログの評価は全てを語らないな、と思った。普段食べるラーメン二郎は、並んでも食べたい、という意味で評価が高いものだと認識していた。しかし、高評価の要因は、「ハズレがない」という基準でも当てはまるのだと感じた。私は、これで本場の旭川ラーメンを食べたと自分で思っている。これは、食べログの評価と芸能人の色紙に裏付けられた自信であろう。しかし、平日の食事時ともあって、地元の人の入りがそこまでだったのが若干引っかかっている。旭川ラーメンとは何か。ずいぶんと哲学的な問いの様相を呈してきた。
 まあ当時はそんなことも考えずに、「美味かった」という感想のままセイコーマートで飲み物を買い、ホテルで眠りについた。こうして冬の北海道旅行1日目は終了だ。

夜景がキレイ。永山方面を写しており、奥に光るのは、大雪国道沿いのロードサイド型店舗だ。
タイトルとURLをコピーしました