今回の目標
・火山に見られる様々な地形とその成り立ちを理解しよう
・火山の周辺に作られる6種類の火成岩と、それらの違いを知ろう
・世界の有名な山の成り立ちを理解しよう
Ⅰ 火山ができる場所
火山ができる場所は、大きく3種類に分けられます。
プレートの作られる場所
プレートの下にあるマントルは固体ですが、長い目で見ると液体のように動いています。その中でも、マントルが上昇する場所でプレートは引き裂かれています。
マントルが上昇すると、周囲の圧力が下がることで融点(液体になる温度)が下がり、固体だったマントルが液体のマグマになります。これが地表付近(海底であることが多い)で冷やされながら固まることで、引き裂かれた部分を埋めるように岩盤を作ります。プレートはその繰り返しによって常に作られ続けています。
この部分は海底火山が山脈のように連なっていることから、海嶺(かいれい)と呼ばれます。アイスランドに見られる火山はこのタイプです。
ホットスポット
マントル内部には、局地的に外核に近い部分から常に、「ホットプルーム」と呼ばれる、高温のマントルが上昇する部分があり、その場所を「ホットスポット」と言います。
ホットスポットでも海嶺と同じ原理でマグマが発生して海底火山や島を作りますが、山脈のように連なるのではなく、大きな山が独立して存在していることが多いです。ハワイで見られる火山はこのタイプです。
プレートの境界
前回、断層ができる場所はプレートの境界に極端に集中していることを学習しました。
プレートの境界ではプレートが沈み込んでおり、沈み込むプレートには水が多く含まれています。この水により、岩石が融解する(液体になる)温度が低くなります。その結果、プレート上部でマグマが発生します。
発生したマグマは、周囲の岩石を取り込んだり、冷やされたりすることで「ねばりけ」を増やしながら上昇し、ある高さに達するとマグマだまりをつくります。
そして、マグマだまりの周囲でひび割れを起こすことで、マグマだまりを押さえつけていた地面の圧力が低下するか、火山ガスの発生によってマグマだまりの圧力が高まることによってマグマが地表付近に急激に上昇すると噴火が起こります。
このことから、プレートの境界付近では、海嶺やホットスポットにおける火山に比べてねばりけの強いマグマが作られやすいことが言えるため、大規模な噴火がよく発生します。日本で見られる火山はこのタイプです。
Ⅱ 噴火のようすと火山の形の関係
噴火のようすは、作られるマグマの「ねばりけ」によって変わり、様々な種類があります。今回はその中で、「ハワイ式」「ストロンボリ式」「ブルカノ式」「プリニー式」を見ていきます。
ハワイ式
ハワイ式は、海嶺やホットスポットにおける火山に良く見られる噴火で、ねばりけの低いマグマが割れ目のようになっている火口から噴出する、比較的おだやかな噴火です。
このようなタイプの噴火を繰り返すと、マグマが広い範囲に流れることでそれが固まった楯状火山(たてじょうかざん)ができます。こうした火山は玄武岩(火山岩の一種)でできていることが多いです。
ストロンボリ式
ストロンボリ式は、ねばりけが比較的低いマグマが小規模な爆発を繰り返しながら噴出し、火山れき(火山灰よりも大きな破片)を周囲に積もらせます。
このタイプの噴火は数か月から数年にわたって続くことがあります。島の拡大を続ける西之島や、伊豆大島の三原山などで見られます。
ブルカノ式
ブルカノ式は、プレート境界における火山に良く見られる噴火で、ねばりけが比較的高いマグマが爆発的に噴火し、岩石の破片や火山灰を広範囲に降らせます。
このタイプの噴火を繰り返すと、溶岩と火山灰が交互に積み重なった成層火山ができます。こうした火山には安山岩が見られることが多いです。
プリニー式
プリニー式は、ねばりけが高いマグマが長い時間をかけてたまり、火山ガスによって圧力が高くなることで噴出して起こる巨大な噴火です。こうした火山では流紋岩が見られることがあります。
プリニー式は軽石や火山灰を広い範囲に降らせるだけでなく、噴煙は10kmに達し、火砕流が発生することもあります。また、プリニー式の中でも大規模な噴火によってカルデラが形成されることがあります。
また、火山ガスによって圧力が高くなることによる爆発的な噴火が起こらないこともあり、その場合はねばりけの強いマグマが地表に押し出されてドーム状の地形を作ります。これを溶岩ドームと言います。日本では雲仙(長崎県)や昭和新山(北海道)などに見られ、雲仙普賢岳では1991年に溶岩ドームの崩落によって大規模な火砕流が発生しました。
Ⅲ 世界の火山・その他の山
ハワイ式噴火を起こす山の代表が、キラウエアやマウナロアです。キラウエアの山頂には10平方kmの巨大なカルデラ(火口周辺の陥没した地形)があります。これは1回の爆発的な噴火によるものではなく、繰り返す噴火により火口周辺が崩落していった結果できたものです。
マウナロアの体積は富士山の50倍以上であり、楯状火山の中で世界最大となっています。
ストロンボリ式噴火は、日本では伊豆諸島で起こるものが代表的ですが、阿蘇山のカルデラ内で観測されることもあります。また、富士山の山麓にもストロンボリ式噴火の痕跡である火山れきが積もった地形が見られます。
日本の多くの火山はブルカノ式による噴火を発生させます。桜島は現在も頻繁に活動している代表的な火山です。成層火山の代表といえば富士山ですが、その山体を形作ったのもブルカノ式の噴火と言えます。
プリニー式による噴火は、九州や北海道のように、地殻変動が比較的おだやかな場所で起こることが多いです。というのも、地殻変動が活発な場所ではその分噴火が起こりやすいのですが、そうではない場合は噴火があまり起こらず、長い期間マグマをためて一気に爆発するからです。
九州や北海道では大規模なカルデラが多く見られます。洞爺湖のように、カルデラ内部が湖になったものをカルデラ湖といいます。また、阿蘇山は日本で二番目に大きいカルデラですが、4回の大規模なプリニー式噴火(破局噴火とも呼ばれる)によって形成されました。9万年前の600立方kmの噴出物を伴う4回目の噴火がその中でも最大で、火砕流は九州北部を覆うだけでなく、山口県の秋吉台まで達しました。
世界で最も標高が高い独立した火山はキリマンジャロ(標高5895m)です。アフリカもハワイと同様にホットスポット上に位置しているため、穏やかな噴火を繰り返していると考えられます。多くの火山は爆発的な噴火により崩壊することが多く標高が高くなりにくいため、キリマンジャロはその中でも高く成長した山と言えます。さらに、世界で最も標高が高い活火山は、アンデス山脈に属するオホス・デル・サラード(6893m)です。
つまり、それ以上高い山は全て、火山活動以外の要因で高くなりました。その良い例がヒマラヤ山脈です。数千万年前にユーラシアプレートとインドプレートという二つの大陸プレートが衝突し、両側から押されることで断層を形成したり、褶曲(しゅうきょく)によって急激に隆起しました。
Ⅳ 火成岩の種類と覚え方
火成岩は大きく、火山岩、深成岩の2種類に分けられます。火山岩は地表に噴出したマグマが冷えて固まることでできる溶岩に代表され、噴火を起こさなくても急激に冷えて固まることで形成されます。
粘り気が弱い順に、玄武岩(げんぶがん)、安山岩(あんざんがん)、流紋岩(りゅうもんがん)の3種類があります。
深成岩はマグマだまりの周辺でマグマがゆっくり冷えて固まることで形成されます。
粘り気が弱い順に、斑レイ岩(はんれいがん)、閃緑岩(せんりょくがん)、花崗岩(かこうがん)の3種類があります。
新幹線は刈り上げ
「しん」(深成岩)「か」ん(花崗岩)「せん」(閃緑岩)「は」(斑レイ岩)「か」(火山岩)「り」(流紋岩)「あ」(安山岩)「げ」(玄武岩)
と覚えます。ここでは、元となるマグマの粘り気が強い順に並んでいます。また、白い順にもなっています。
白い岩石は無色鉱物の割合が、黒い岩石は有色鉱物の割合が大きくなっています。火成岩に含まれる無色鉱物は石英(セキエイ)、長石(ちょうせき)の2種類で、有色鉱物は黒雲母(くろうんも)、角閃石(かくせんせき)、輝石(きせき)、橄欖石(かんらんせき)、磁鉄鉱(じてっこう)の5種類です。
黒で書く奇跡の漢字・超席ええ
「くろ」で(黒雲母)「かく」(角閃石)「きせき」の(輝石)「かん」(橄欖石)「じ」(磁鉄鉱)
「ちょう」(長石)「席ええ」(石英)
と覚えます。
火山岩と深成岩の違い
火山岩は急激に冷やされるため、含まれる鉱物が十分に成長しないまま固まります。そのため、石基と呼ばれる細かい粒の中に、斑晶と呼ばれる少し大きな結晶が混ざった、斑状組織(はんじょうそしき)を形成します。
一方で、深成岩はゆっくりと冷やされるため、含まれる鉱物による結晶が成長して、結晶同士が隙間なくくっつきます。これを等粒状組織(とうりゅうじょうそしき)といいます。
まとめ
・火山ができる場所はプレートが作られる場所、ホットスポット、プレートの境界の3種類に大きく分けられる。
・プレートの境界の火山では粘り気の強いマグマによって爆発的な噴火が起こりやすい。
・もととなるマグマの粘り気の強さによって、含まれる鉱物の違いや岩石の色の違いが生まれる。