構造地質学各論【岩石の分類】

はじめに

岩石の風化による陸源性砕屑物や、火山の噴火による火山性砕屑物は、一定の場所に堆積後、その上部にさらに堆積が進行することで圧力や温度が増加することで、続成作用や変成作用を受けます。前者の作用のみを受けた場合は堆積岩、後者の作用を受けた場合は変成岩を形成します。さらに、岩石を融解させる温度に達するとマグマが発生し、そのマグマが移動・冷却によって異なる場所で固結することで火成岩を形成します。

このように、岩石の分類は異なる生成メカニズムによって行われますが、それぞれは連続していることが多いため、今回は、砕屑物の形成、続成作用、変成作用、火成作用という一連の流れに沿って、どのような岩石が生成されるかを見ていきます。

砕屑物の形成と続成作用

陸源性砕屑物

陸源性砕屑物は、その粒径により、礫(2mm以上)、砂(1/16mm-2mm)、シルト(1/256mm-1/16mm)、粘土(1/256mm以下)に分けられます。

礫は網状河川(掃流河川)のように流速の速い川や、流速が急激に低下する扇状地、海底谷や海底扇状地(特に太平洋に形成されるもの)に堆積環境が形成されやすくなっています。このような環境で堆積した礫が15%以上含まれるような堆積岩を礫岩と呼び、これらは礫支持礫岩と、基質支持礫岩に分かれます。前者は礫が堆積した後、基質となる砂や泥が埋積、充填することで生成されたものであり、礫同士が接しています。後者は、基質となる砂や泥と、礫の堆積が同時に起こったのちに生成されたものであり、礫同士が離れています。

礫岩は、河川による運搬作用の過程で削られることで角がとれた、円礫により構成されるのが一般的ですが、地中(おもに断層)または火山、氷河などで形成され、運搬をまだ受けていない礫は角ばっていることが多く、これらが固結したものを角礫岩といいます。また、未固結のものを栗石と呼ぶこともあります。火山で形成された火山砕屑物については、さらに細かい分類があるため、後述します。

礫は破砕の程度が低く風化作用が進行していないことから、原岩の組成を留めていることが多く、供給地の気候や場所を反映しています。ただし、礫として残りやすい岩石と、そうでない岩石が存在することから、礫の堆積環境から得られる情報は少ないと言えます。

砂は、粒径1/16mm-2mmの岩石片、石英粒子、長石粒子が30%以上含まれているものを指し、それらが固結することで砂岩を形成します。これらの砂粒子以外に基質と呼ばれる泥またはシルトを含み、基質が15%以下のものをアレナイト、15%以上のものをワッケと呼びます。基質の割合は必然的に70%以下となりますが、それよりも多い場合は泥岩へと移行します。

また、基質を除く岩石片、石英粒子、長石粒子の組成により、アレナイトまたはワッケがさらに分類されます。石英粒子が95%以上を占めるものを石英質アレナイトまたは石英質ワッケ、石英粒子を除いたときに長石粒子が過半数を占めるものを長石質アレナイトまたは長石質ワッケ、それ以外のものを石質アレナイトまたは石質ワッケと呼びます。

泥はほとんどが粘土鉱物によって形成されており、特に粘土の組成は均一で供給地の平均的化学組成を指すものとなっています。一方、シルトの組成は石英を多く含むなど、多様です。泥が固結したものを泥岩、固結が進み面構造が発達したものを頁岩といいます。

粘土鉱物には雲母、緑泥石や、風化によって形成されるカオリナイト、スメクタイトが含まれます。このような粘土鉱物は原岩の組成から大きく変化しており、続成作用によって砂岩や礫岩の粒子間に生成することもあります。

火山砕屑物

火山砕屑物は、マグマが噴出時に急冷することで形成される、結晶質またはガラス状の初生フラグメントと、噴火時の爆発により一旦固結した溶岩が破砕された岩片に大きく分けられます。

初生フラグメント

初生フラグメントには、岩石中に発泡の痕跡が残っており、多孔質です。安山岩質マグマまたは珪長質マグマの噴出に伴い生成されたもので白っぽいものは軽石と呼ばれ、安山岩質マグマまたは苦鉄質マグマの噴出に伴い生成されたもので黒っぽいものはスコリアと呼ばれます。マグマ水蒸気噴火のように爆発的な噴火の際には初生フラグメントにおける発泡が進んでいないこともあり、その場合は岩片と同様に火山礫などと分類されます。

火山砕屑物の分類

初生フラグメントによる分類以外に、火山砕屑物は粒径や堆積の成因により分類されます。

粒径が64mm以上のもののうち、角ばったものをブロック、角がとれたものを火山弾といい、固結したものはそれぞれ火山角礫岩火山円礫岩と呼ばれます。粒径が2mm-64mmのものを火山礫、粒径が2mm以下のものを火山灰といい、火山灰はさらに、粒径1/16mmを境に粗粒火山灰、細粒火山灰と分けられます。

噴出・破砕による堆積物は火砕降下堆積物火砕流堆積物火砕サージ堆積物に分類されます。火砕降下堆積物は最も一般的なもので、噴火の規模に応じて、規模が大きいものほど層厚が大きく、十分に破砕された粒子の割合が大きくなります。

火砕流は、マグマに含まれるガス(水などの揮発成分)が少ない場合や、噴火口が大きい場合に相対的な空気の取り込み量が少ない場合には噴煙の密度が空気に比べて大きくなりやすいため、噴煙柱の崩壊が起こることで発生します。これ以外にも溶岩ドームの崩壊などによって起こることがあり、それらにより形成される火砕流堆積物には、大小の火山砕屑物による級化構造が見られます。

火砕サージはマグマ水蒸気爆発または火砕流の前方に形成される熱風であり、比較的細粒な火山砕屑物による火砕サージ堆積物を形成します。火砕サージの中でも乾いたものになると、デューンやアンチデューンといったベッドフォームが発達することもあります。

このような堆積物は、続成により凝灰岩を形成しますが、堆積の過程によっては、直接凝灰岩を形成することもあります。噴出した砕屑物の多くは、噴煙とともに上昇して空気中で冷やされますが、あまり上昇せずに地上にそのまま堆積すると、熱により溶結することで、溶結凝灰岩を形成します。それ以外に、海底火山の噴火などにより、火山砕屑物が水中に堆積すると、緑色凝灰岩(グリーンタフ)などを形成します。また、海底火山から流出した溶岩流が水中で急速に冷却すると、ガラス質のハイアロクラスタイトを形成します。

生物源堆積物・化学沈殿岩

石灰岩の形成

炭酸塩堆積物は、方解石やアラゴナイト(アラレ石)により構成されますが、続成によって間隙水と反応し、Mgを多く含む方解石や、アラゴナイトはドロマイト(CaMg(CO3)2)に変質します。

石灰岩は多様な成因が考えられ、一般的には非骨片粒子、骨片粒子、基質により構成されます。非骨片粒子はさらに、被覆粒子、ペロイド、凝集粒子、砕屑粒子と分類されます。被覆粒子は球形で層状に成長していく、藻類起源の粒子であり、浅海域に見られます。2mm以上のものをウーライト、2mm以下のものをオンコライトと呼びます。ペロイドは排泄物起源の、球形または楕円球形の粒子です。

骨片粒子は、藻類による植物源骨片や、サンゴや有孔虫、二枚貝による動物源骨片が起源として考えられます。基質はミクライトと呼ばれる20mm以下の結晶で、初生的には高Mg方解石やアラゴナイトにより構成されますが、続成により低Mg方解石やドロマイトに変質します。多くはシアノバクテリアの光合成により生じますが、化学沈殿(後述)により生成することもあります。

化学沈殿岩

海水の蒸発により、炭酸塩(CaCO3)、硬石膏(CaSO4)、ハライト(NaCl)、カリウム塩(KCl)、MgSO4の順に晶出が起こります。実際にはNaClは海水の再流入により溶解することが多く、硬石膏のみが蒸発岩として残りやすくなっています。

続成作用

地中には、浅部から順に、酸化帯、硝酸還元帯、硫酸還元帯、メタン生成帯、熱分解脱カルボン基帯が分布します。最後の熱分解脱カルボン基帯では熱分解によって炭素数の少ない炭化水素が生成し、それ以外では微生物の働きによって黄鉄鉱などの鉱物の生成反応が起こります。前者のような反応を化学的続成反応、後者のような反応を生化学的続成反応といいます。

機械的続成反応は圧密とも呼ばれ、岩石の上部への堆積が進むことで、間隙水の排水が圧力の増加に応じて増加するため、間隙率は減少していきます。埋没深度が3kmを超えると、石英などの珪質鉱物の圧力溶解が起こることで、間隙水中に溶脱します。また、チャートや石灰岩内部に、スタイロライトと呼ばれる面構造を形成します。さらに、結晶内部の層間水が間隙水に流出することで有効荷重圧が急激に減少するため、2次的間隙(割れ目)を生じることがあります。

このような続成作用は、変成作用のように鉱物間の反応によるものではなく、反応間隙水の減少や、鉱物の溶脱などによるため、不可逆的な作用になっています。

変成岩の形成

変成岩は、形成された温度・圧力とは異なる条件で、原岩が固体のまま化学組成を変化させた岩石です。高温条件では部分融解を受けることでマグマを発生させることもありますが、全て融解しない限りは変成岩を生成します。

変成岩は、全体の化学組成により、泥質変成岩、塩基性変成岩、石灰質変成岩(石灰珪質変成岩)、超塩基性変成岩、石英長石質変成岩に分類されます。

組成による分類

泥質変成岩は泥岩の変成により形成されるため、Al、Fe、Mg、Kの酸化物に富み、紅柱石、藍晶石、珪線石の多形を示すAl2SiO5を含みます。石英や長石に富む場合、準泥質変成岩や砂質変成岩と呼ばることもあります。

塩基性変成岩は、玄武岩質や安山岩質の火成岩、火山砕屑物の変成により形成されるため、Mg、Fe、Caに富み、SiO2に乏しい性質を示します。緑色片岩や角閃岩などの主要な変成相の多くは、塩基性変成岩の分類に基づいています。

石灰質変成岩は、純粋な石灰岩が変成作用を受けた際の再結晶による大理石の形成とは異なり、珪酸塩岩との混合物の変成により形成され、ドロマイトや緑簾石、珪灰石のようなCa鉱物を多く含みます。Ca鉱物の生成は粒間に含まれるH2OやCO2など揮発性成分の圧力にも大きく影響を受けます。

超塩基性変成岩は、カンラン岩の変成により形成され、Mg、Feに富み、蛇紋石やカンラン石などを含みます。

石英長石質変成岩は、珪質の火成岩や火山砕屑岩、砂岩やチャートなどの珪質堆積岩の変成により形成されるため、SiO2に富みます。

変成作用の分類

海洋底変質作用(海嶺変成作用)

海嶺で作られたプレートは、海嶺周辺で熱水変質作用(広義の変成作用)を受けることで含水玄武岩層を形成します。これらは沈み込みに伴って比較的低温のまま高圧条件に移行し、直上にある堆積岩の層とともにデュープレックス構造(連続的に逆断層を形成した構造)を形成しながら大陸地殻下部に底付けされます。その後急速に上昇することで高圧型変成岩、ゆっくり上昇することで等温減圧のため中圧型変成岩または低圧型変成岩を形成します。このような過程は、温度を横軸、圧力を縦軸にとったP-Tグラフ上では時計回りの温度-圧力経路をとります。

接触変成作用

花崗岩質マグマの貫入などにより、液体のマグマが結晶化することで周囲は高温になります。これにより一般的には低圧型変成岩が形成されます。

一方、沈み込み帯におけるアセノスフェアの上昇や、海嶺の沈み込みなどにより地温勾配が高い条件では、沈み込みにより圧力が十分に高まる以前に温度の上限に達するため、その後は等温加圧のためグラニュライトなど中圧型変成岩を形成します。この場合は反時計回りの温度-圧力経路をとります。

埋没変成作用

海底の堆積物が埋没によって弱い変成を受けることがあります。塩基性変成岩の変成相では沸石相にあたり、続成作用と変成作用の境界にあたります。

動力変成作用

断層や剪断帯の形成による破砕や、塑性変形により断層岩と呼ばれる変成岩を形成します。鉱物のうち少なくとも一つが塑性変形している場合はマイロナイト、すべて破砕している場合はカタクレーサイトといいます。また、断層運動による摩擦熱により一旦融解した後に急冷することで、シュードタキライトと呼ばれる脈状岩石が形成されます。

衝撃変成作用(衝突変成作用)

隕石の衝突など、短時間の衝撃波により変成作用を受けることで、シュードタキライトなど変成岩が生成することがあります。

鉱物組み合わせ

鉱物組み合わせとは、ある温度・圧力条件で平衡に共存する鉱物の集合であり、P-Tグラフ上の一定の範囲を示す変成相により分類されます。変成岩中の鉱物組み合わせは、一般的には変成作用のピーク時に形成されたものと考えられますが、温度・圧力の低下時に後退変成作用が見られることがあり、ザクロ石やジルコンなど、一部の鉱物のみに深部に高温・高圧に到達した形跡が残されていることから確認されます。

変成作用の下限は続成作用の上限にあたり、続成作用は埋没変成作用へと連続的に変化していきます。変成作用の上限は、岩石が完全に融解するリキダス温度(火成岩の項で詳述)にあたり、塩基性岩ほど高温になります。

温度や圧力の条件以外に、H2OとCO2の化学ポテンシャル(分圧)が変成作用の進行に影響し、それらを含めた変成作用の進行過程を累進変成作用といいます。また、変成度が異なる領域が同一の変成帯において、低変成度から高変成度まで連続的に変化する地域を累進変成帯といいます。このような場合、鉱物組み合わせによって変成帯が変成分帯に細分され、その境界をアイソグラッドといいます。

アイソグラッドは、P-Tグラフ上で変成相の境界を示す一変反応線(平衡直線)に対応します。アイソグラッド名には、その点で出現する鉱物の名称がつけられることが多くなっています。花崗岩の貫入による接触変成岩が広域に分布する領家変成帯では、塩基性岩の分布が限られているため、泥質変成岩を変成分帯に用いることがあります。

おもな変成相・変成岩

塩基性変成岩

藍閃石片岩は青色片岩とも呼ばれ、低温・高圧で安定の塩基性変成岩です。P-Tグラフ上では左上に分布します。沈み込み帯における圧力の上昇により形成されます。

エクロジャイトは高圧で安定の塩基性変成岩です。P-Tグラフ上では最上部に分布します。オンファス輝石(ヒスイを構成する鉱物)やザクロ石からなり、密度は3.5g/㎤とマントルカンラン岩よりも重くなります。

グラニュライトは高温で安定の塩基性変成岩で、P-Tグラフ上では最も右に分布し、右上でエクロジャイト相と接します。斜方輝石を含むとともに、角閃石や雲母のような含水鉱物を欠きます。

角閃岩はグラニュライト相の左側に幅広く分布する低圧~中圧・高温の塩基性変成岩です。石灰岩を原岩とすることもあります。時計回り・反時計回りの温度-圧力経路における、グラニュライト相からの等圧冷却により生成されるほか、エクロジャイトの後退変成作用による生成も考えられます。Caを多く含む斜長石とホルンブレンドを主成分とします。

緑色片岩は角閃岩相と藍晶石片岩相の間に幅広く分布する、低圧~中圧・低温の塩基性変成岩です。

ミグマタイト

ミグマタイトは、パレオゾーム(メソゾーム)と呼ばれる変成岩質の部分と、石英長石質のリューコゾーム・苦鉄質のメラノゾームを合わせたネオゾームと呼ばれる花崗岩質の部分が不均質に混在し、片麻岩と花崗岩の中間的な性質を示します。このような変成岩は部分融解によって生成し、ソリダス(部分融解を開始する温度)で流体相と鉱物が反応することでメルトを発生する調和融解反応もしくは、ソリダスでH2Oが消費されつくした後に含水鉱物が反応することでメルトおよび無水鉱物を発生する非調和融解反応を経たと考えられます。

変成岩の組織

差応力場(一定の方向に強い応力がかかる場所)で変成岩が形成されると、面構造や片理、縞状組織を作ります。このような組織を持つ結晶片岩は、高圧変成作用により形成されやすく、板状の雲母や、柱状の角閃石が一定方向に配列することで片理を形成します。一方、片理が少なく比較的大きな粒子による縞状組織のみが発達したものを片麻状組織といい、高温変成作用により形成されやすい片麻岩などに見られます。

変成岩中の等粒状組織をグラノブラスティック組織、面構造の発達した組織をレピドブラスティック組織、針状結晶や柱状結晶の並んだ組織をネマトブラスティック組織といいます。

変成が進むと、鉱物の粒径が大きくなることで再結晶作用が起こり、硬く緻密な組織を形成することがあります。純粋な方解石の再結晶により、大理石が形成されます。実際には石英やドロマイトを含むことが多く、その場合はスカルンと呼ばれる、Caを含むケイ酸塩鉱物を生成します。また、堆積岩の再結晶によりホルンフェルスを形成します。

このように、変成作用が進行するにつれて鉱物は変質・成長しますが、それを反映した成長累帯構造の中には、一度の変成作用では説明できないものもあります。その場合は、変成岩が原岩となった変成作用によって別の変成岩に変化する重複変成作用または複変成作用を受けたと説明されます。

流体包有物

変成岩を構成する鉱物にはH2OやCO2などの流体が存在していると考えられ、それらはソリダスにおいて部分融解するときに大半がメルトに取り込まれると考えられます。一方、鉱物の生成時に流体が内部に取り込まれることで、マグマに濃集しやすい揮発性成分や、NaClなどが変成岩中に残ることがあります。これらは流体包有物と呼ばれ、低温では液相と気相が混在していますが、温度の上昇に伴ってどちらか一相になります。このときの温度を均質化温度といい、流体包有物を取り込んだ鉱物がそれ以上の温度で生成したことを示します。流体包有物は、凝固点降下を利用することによる塩濃度の測定や、酸素と水素の安定同位体比の測定をすることで、変成作用を受ける間に供給された水の起源がマグマ、雨水、海水のいずれであるかを推定するのに使われます。

火成岩の形成

岩石の温度が上昇することでソリダス(部分融解を開始する温度)に達すると、一般的にはその岩石とは異なる組成のマグマを発生します。部分融解が進行するにつれてマグマの組成は原岩の組成に近づきながら連続的に生成され、最終的にはリキダス(完全に融解する温度)に達すると原岩と同じ組成のマグマを発生するようになります。また、分別融解と呼ばれる、生成したメルトがすぐに取り去られるような場合は、ソリダスにおける組成とリキダスにおける組成の中間組成のマグマが発生しないこともあります。

また、マグマの発生は温度の上昇だけでなく、圧力の低下によっても起こります。圧力が低下すると、ソリダスおよびリキダスが降下するためです。このようなマグマの発生の例として、マントルカンラン岩が中央海嶺やホットスポットで断熱上昇することによる減圧融解が挙げられます。さらに、H2Oなどの揮発性成分が存在するとソリダスが低温側に移動するため、マグマが発生することがあります。この例として、沈み込み帯における加水融解が挙げられます。

以上のように、起源物質、温度圧力条件、揮発性成分、融解様式の違いにより多様な組成のマグマが発生します。しかし、一般的には珪酸塩溶融体と呼ばれ、現在発生するマグマの大半にはSiO2が45%以上含まれているという点で共通しています。これらのマグマが固結する過程では、温度の低下に応じて異なる鉱物を順番に晶出し、組成を変化させながら火成岩を形成します。これを結晶分化作用といいます。以下では、マグマの多様性および、火成岩の多様性に着目しながら、それぞれの分類を見ていきます。

マグマの分類

FeOやMgOに富む苦鉄質マグマは、カンラン石、輝石、角閃石などの有色鉱物を多く含みます。これらの有色鉱物の割合(体積%)は色指数と呼ばれます。

SiO2やAl2O3に富む珪長質マグマは、石英、カリ長石、Naに富む斜長石などの無色鉱物の割合が大きくなります。

減圧融解によるマグマの生成

カンラン岩のソリダスは、アセノスフェア下部の温度よりも高いため、減圧による融点降下が必要であり、プレートの引っ張りによる受動的なアセノスフェアの上昇により、断熱状態で上昇することで部分融解します。ホットスポットマグマも、マントル対流による上昇・減圧により同様の融解が起こります。このようなカンラン岩の部分融解によって多くの場合、玄武岩質マグマが生じます。

共融系と包晶系

岩石の実際の鉱物組成はモードと呼ばれ、それらはノルムと呼ばれる標準的な鉱物組成の組み合わせにより表すことができます。

共晶系では、ある組成を持つ岩石がソリダスに達すると、ノルム鉱物の中間組成を持つメルトを生じながら部分融解し、一旦部分融解したものが再び固結すると、最初に生じたメルトの組成と、原岩の組成の中間組成の鉱物を連続的に生じます。

一方、包晶系では、一旦部分融解したものが固結するとき、ノルム鉱物の中間組成とは異なる化学組成の鉱物を生じることがあります。この現象を分解融解といいます。

カンラン石(Mg2SiO4)と石英(SiO2)をノルム鉱物とすると、低圧では包晶系のため、玄武岩(MgSiO3)を生じます。一方、高圧では共融系になるとともに、リキダスがMg2SiO4側に移動するため、カンラン岩の部分融解で生じるマグマの組成はSiO2に乏しくなります。衝突帯では、このようにして部分融解したマグマが原岩と反応することで、カンラン石に富むカンラン岩を生成することがあります。

プレート収束境界におけるマグマの生成

沈み込む海洋プレート上部にウェッジマントルと呼ばれるアセノスフェアが上昇すると、水の添加によりソリダスが低下し、減圧融解によるカンラン岩の部分融解に比べて多様な鉱物を含み、玄武岩質~安山岩質マグマが生じると考えられます。また、玄武岩質マグマが地殻物質を取り込むことで安山岩質マグマが形成される場合もあります。

花崗岩質マグマは、玄武岩質~安山岩質マグマの上昇により、熱により大陸地殻物質を溶融したり、取り込むことで生成されます。また、結晶分化作用による生成や、衝突帯の下部、海嶺の沈み込みによる生成も考えられます。

火成岩の分類

珪酸塩鉱物は石英、長石、カンラン石、輝石、角閃石、雲母などにより構成され、これらが95体積%以上を構成する主成分鉱物となっています。SiO2含有量に対して、Na2OやK2Oなどのアルカリ含有量が多いものをアルカリ岩、少ないものを非アルカリ岩といいます。

アルカリ岩はアルカリ長石・準長石・アルカリ角閃石、アルカリ輝石を含むことが多く、粗面玄武岩、粗面安山岩、粗面岩やその深成岩相といったアルカリ岩系列にあたります。

一方、非アルカリ岩系列は、SiO2が残液に多く含まれるカルクアルカリ岩系列と、FeOが多く含まれるソレアイト系列に分かれます。前者は島弧や大陸縁、後者は溶岩台地、海嶺、火山島に多く見られます。

深成岩の分類

深成岩は雲母、角閃石、輝石、カンラン石などの苦鉄質鉱物の量が90%以上のものと90%未満のものにまず区分されます。

前者は石英(準長石)、斜長石、アルカリ長石をノルム鉱物にとった三角図により分類され、斜長石が90%以上含まれる領域は、Caの割合が大きい場合ははんれい岩、小さい場合は閃緑岩に分類されます。

後者はカンラン石、直方輝石、単斜輝石をノルム鉱物にとった三角図により分類され、カンラン石が40%以上の領域はカンラン岩に当たります。カンラン石に水を含むと蛇紋石となり、蛇紋岩を形成します。

火山岩の分類

火山岩は火山ガラスや細粒な石基を含むことから、全岩組成により分類されます。このような分類には、SiO2およびNa2O+K2Oの重量%により区分したアルカリ-シリカ図が用いられます。

火成岩の特徴的な組織

鉱物の集合状態が表れた岩石の様相を、肉眼以下のものを組織、肉眼以上のものを構造と呼びます。後者の例に流理構造と呼ばれる、マグマの流れに沿った鉱物の配列があります。

岩石組織のうち、肉眼レベルまたはそれ以上の構成鉱物の粒度をもつものを顕晶質、肉眼で鉱物が見分けられないほど細粒、均質なものを非顕晶質といい、さらに顕微鏡で観察できる微晶質、顕微鏡でも観察できない隠微晶質に分れます。非顕晶質は火山岩に見られます。

また、結晶が生成するよりも速く固結すると、ガラス質あるいは非結晶質(非晶質)となります。火山ガラスは準安定的なため、古い岩石には残りません。火山ガラスの例として、流紋岩の一種でSiO2に富む黒曜岩が挙げられ、細粒の磁鉄鉱や苦鉄質鉱物を含むことで暗色になります。ガラス状で緻密なため、貝殻状断口をもちます。

火成岩中に存在する鉱物は、初生鉱物(一次鉱物)と呼ばれる、マグマの固結時に生成した鉱物と、二次鉱物(変成鉱物)と呼ばれる、固結後の風化や変成を受けた鉱物に分類されます。また、マグマの固結後、ある岩石に2種以上の鉱物が同時に存在する関係を共存といい、そのうち固結の過程で同時に生成した場合、その関係を共生といいます。

まとめ

・陸源性砕屑物は、泥は供給地の平均的な化学組成、砂は堆積環境、礫は原岩の化学組成をそれぞれ示し、その割合によって泥岩、砂岩、礫岩と分類される。

・火山性砕屑物は、多孔質の初生フラグメントはスコリアと軽石に分類され、それ以外は粒径により分類される。火砕降下堆積物は火山灰など比較的小さな粒子により構成される一方、火砕流堆積物は比較的大きな粒子も運搬されることで、級化構造を形成する。また、緑色凝灰岩や、溶結凝灰岩など、初生的に堆積岩を形成することもある。

・続成作用は、地表面付近では深さに応じて鉱物への反応が起こる生化学的続成作用が中心に起こる。地中に埋没し、圧力が増加していくと、間隙水の排水量が増大していくことで、間隙率が減少していく。これを圧密もしくは機械的続成作用という。

・続成作用は不可逆的である一方、変成作用は可逆的である。温度・圧力に応じて安定な鉱物組み合わせが存在し、変成岩中の鉱物組み合わせだけでは、その変成岩がどのような温度-圧力経路をたどってきたかが分からないため、温度-圧力経路を定性的にとらえる方法が有効である。低温の場合はP-Tグラフ上で時計回り、高温の場合は反時計回りの経路をとる。この過程で、後退変成作用が起こることもある。

・変成岩は、高圧では面構造、低圧では等粒状組織が発達する。高温では再結晶により、硬く緻密な大理石やホルンフェルスを形成する。

・マグマは一般的に多様で、それらの固結により生じる火成岩は、様々な成因が考えられる。固結の速さに応じて深成岩、火山岩と分類され、火山岩よりも速く固結した場合結晶が形成されず、ガラス質になることがある。

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