構造地質学の基礎【地帯構造】

はじめに

構造地質学は地殻の変形を扱う分野ですが、地殻の変形が起こる背景を理解するためには、プレートテクトニクスやマントルの対流などのモデルや、風化・侵食・運搬・堆積を扱う堆積学の知識も必要になります。この記事では、世界の大地形を陸、海にわたって概観していくとともに、それらの地形が形成された背景や、それを理解するのに必要な知識を、様々な分野にわたって紹介していきます。

海洋地殻の性質

大陸地殻には様々な形成背景がある一方で、海洋地殻は全世界にわたって、比較的均一な構造を示します。

海洋地殻の構造

深海性堆積物

海洋地殻の表面は、深海性堆積物に覆われます。陸地に近い場所では、陸地から運ばれてきた砕屑物が堆積する一方で、陸地から十分離れた場所では、遠洋性堆積物が堆積します。

石灰質の殻をもつ浮遊生物は中緯度地域を中心に見られ、温帯地域では有孔虫群の石灰質堆積物が形成されます。一方、海水表層温度が15℃を越える低緯度地域の浅海には造礁サンゴ群による堆積物が形成され、乾燥地域のため雨水の流入が少ない、塩分濃度が高い浅海には緑藻群による堆積物が形成されます。後者の場合は、相対的に珪質堆積物が多くなります。高緯度地域では、相対的に珪質の殻を持つ浮遊生物が多くなるため、珪質堆積物に覆われます。

このように、堆積環境は緯度によって大きく変わってきますが、太平洋であるか、大西洋であるか、によっても大きく変わってきます。

大西洋の塩分濃度は比較的高いので、大西洋中緯度域では浅海であっても珪質堆積物が多くなっています。太平洋中緯度域は、炭酸塩補償深度または珪酸塩補償深度を下回る深さのため、堆積せずに海水に溶けてしまいます。そのため、海底は泥質堆積物に覆われます。

鉱床

海嶺では、プレートが広がることによって海洋地殻が引き伸ばされるため、正断層や、それらがずれてできた横ずれ断層が見られます。この部分から海水が地下に取り込まれることがあり、それらがマグマによって熱せられることで、海嶺から熱水を噴出します。この熱水は、深部を移動することで玄武岩に含まれる銅や亜鉛の硫化物や、鉄やマンガンの水酸化物を含みます。

前者の硫化物は、海底上にチムニーと呼ばれる煙突状の沈殿を形成し、その部分からは熱水の上昇により、硫化物を多く含むブラックスモーカーや、シリカを多く含むホワイトスモーカーが見られます。これは銅や亜鉛を多く含み、海嶺熱水性鉱床と呼ばれます。

一方、後者の水酸化物は、海嶺から少し離れた場所まで運搬され、鉄やマンガンを多く含むマンガンノジュールや、コバルトを多く含むコバルトクラストを形成します。

枕状溶岩

枕状溶岩は、玄武岩質であり、その組成は均一になっています。これらは中央海嶺で噴出していることから、中央海嶺玄武岩(MORB)と呼ばれます。中央海嶺は、大陸の分裂以来プレートが広がり続けており、それを補うために受動的にマントルが上昇してきます。

この中央海嶺玄武岩の組成は、場所によらずほぼ一定です。受動的に上昇してくるマントルカンラン岩の組成が場所によらず一定であるとともに、それらが断熱的な過程でソリダスと呼ばれる、岩石の一部が融け始める温度・圧力関係の曲線に交差することで部分溶融するためです。

いったん部分溶融したメルト(液体部分)は、海底に近く浅い場所では温度が低いため、急速に冷えて玄武岩を形成します。

輝緑岩岩脈群

浅い場所では枕状溶岩を形成し、深くなるほど温度が高く、ゆっくり冷えて固まっていくため、枕状溶岩の下部では、輝緑岩が深さ3km程度の部分に形成されます。この境界部分では、輝緑岩が玄武岩に貫入する、平行岩脈群が作られます。

カンラン石ガブロ

さらに深い場所では深成岩を形成するほど温度が高くなるため、ゆっくりと冷えて斑レイ岩を形成します。これらは海洋地殻の下部に取り込まれて、カンラン石ガブロと呼ばれる厚さ4km-6kmの層を形成します。この底部には、早期に晶出した鉱物が溜まっていくことで沈積岩を形成し、その中でも浅い部分では斑レイ岩を含む層状ガブロ、深い部分では層状カンラン岩を形成します。

モホ面

海洋地殻とは、ここまでの層状カンラン岩よりも上部を指し、それよりも下部のマントルカンラン岩と接しながら、プレートとして一体的に動きます。この部分をモホロビチッチ不連続面(モホ面)といいます。モホ面では地震波速度が不連続に変化するため、地震学的に深さが推定されます。しかし、海洋地殻底部では層状ガブロと層状カンラン岩の境界に地震波速度の不連続面があるため、地震学的に推定されるモホ面と、実際のモホ面は必ずしも一致しません。

海洋地殻の成長

海洋地殻は、中央海嶺で生成されてから時間が経つにつれて冷やされていくとともに、海洋底の深さを増加させていきます。この深さの増加量は、年代の平方根に比例します。

大西洋の海洋底の深さと年代には、このような相関が高くなっていますが、太平洋の海洋底は、ホットスポットなど、上部マントルの対流の影響を受けて、一定の深さに達すると深さの増加量が減衰する傾向にあります。

海底の地形

堆積物に広く覆われた深海底を、深海平坦面といいます。太平洋の深海平坦面は1kmよりも短いスパンで凹凸を繰り返す深海海丘、大西洋の深海平坦面は数百kmにわたって平坦な深海平原になっています。深海平原は、大河川により供給された堆積物に厚く覆われています。また、深海海丘においても、凸部分からタービダイト(混濁流)が流れ下ることで、凹部分が次第に埋積されていきます。

太平洋の深海底には、海山、海膨(かいぼう、rise)、海台のような高まりが形成されており、そのほとんどはホットスポット起源でホットスポットトラック(トレイル)と呼ばれる一直線状の火山列をなしているか、スーパープルームによる玄武岩の噴出によるもののいずれかになっています。

プレートの境界

プレートの境界に対して垂直方向に2つのプレートが移動している場合(相対速度が0でない場合)、プレートの比重が異なる場合は重いプレートが軽いプレートに沈み込みます。一般的には、年代が古い海洋プレートほど重く、若い海洋プレート、大陸プレートの順に軽くなります。そのため、例えばフィリピン海プレートは数千万年前に作られた若い海洋プレートであるため、伊豆・小笠原海溝において、1億年前に作られた太平洋プレートが沈み込みます。

大西洋のように、海洋地殻が大陸地殻を押しながら拡大している場合、つまり、相対速度が0の場合は、受動的大陸縁辺域と呼ばれる、なだらかな大陸斜面を形成します。一方、太平洋のように海洋地殻が大陸地殻に対して沈み込んでいる場合、活動的大陸縁辺域と呼ばれる、急峻な斜面が発達し、その途中には付加体の隆起による前弧と、その陸地側には前弧盆と呼ばれる凹地形、海溝側には、急勾配の斜面の途中に斜面堆積盆を形成します。

活動的大陸縁辺域は、古いプレートが沈み込むことで沈み込みが急になるマリアナ型縁辺域と、比較的新しいプレートが沈み込むことで沈み込みが緩やかなチリ型縁辺域にわけられます。前者の場合は、沈み込むプレートが受ける重力によって、沈み込みの位置が次第に海側に後退していきます。これはロールバックと呼ばれ、海溝の位置が海側に移動していくことで島弧が引き裂かれるため、その部分に海洋地殻が受動的に形成されるとともに、背弧海盆が形成されることがあります。

これらの例として、東北日本(島弧)に対する日本海(背弧海盆)や、伊豆・小笠原弧に対する四国海盆が挙げられます。いずれも太平洋プレートの沈み込みによるものです。

プレート移動の原動力

沈み込むプレートはスラブと呼ばれ、上部マントルより密度が高いため、上部マントルと下部マントルの境界であるマントル遷移層(400km-670km)の底部まで沈降し、その一部は下部マントルの800km程度の深さまで落ち込みます。

このようにして、670km不連続面付近に滞留したプレートは最終的に崩落し、コールドプルームとしてD”層と呼ばれる、下部マントル底部の地震波速度の高速度域を形成するとともに、その反動としてスーパープルームを引き起こし、上部マントルを熱することでホットスポットを形成しますが、直接地表面付近まで上昇することもあります。

つまり、プレートは最終的にはマントル遷移層まで到達します。ここで、中央海嶺に戻って、プレートが拡大する理由を考えてみます。

中央海嶺におけるマントルの上昇は受動的でした。つまり、ホットスポットのようなマントル全体の対流とは無関係に発生します。このことから、中央海嶺におけるプレートの拡大は、重力によって起こることがわかります。プレートは、年代を経て冷やされるにつれて、海洋底の深さを増しながら移動していきます。つまり、位置エネルギーが運動エネルギーに変換されています。大西洋の拡大は以上のように説明でき、その拡大速度は1年で数cmです。

一方で、太平洋の拡大速度は1年で10cm程度になります。この速さの違いは、太平洋における海洋プレートの移動の原動力として、海溝から上部マントルへの沈み込みによる力が加わっている、と説明できます。いずれにせよ、プレート移動の原動力が重力である、といえます。

大陸地殻の性質

大陸地殻は、海洋地殻のように均一ではなく、場所によって異なる構造を示します。しかし、大陸内部にはクラトンと呼ばれる、楯状地安定台地(卓状地)のように数十億年もの間地上に存在し続けた部分が存在しており、テクトスフェアと呼ばれる、共通の成因をもつ層が大陸の原形となっています。

25億年前の太古代においては、現在のMORBにあたるマントル上昇流の温度が数百度高かったと考えられ、部分溶融により、カンラン岩質の溶岩を生成していたと考えられます。現在も、深部でゆっくり固まったカンラン岩が地表で見られることがありますが、カンラン岩質マグマが急速に固まると、コマチアイトを形成します。

この部分溶融の段階で、FeO、CaOなどの液相濃集成分の大部分がコマチアイトに取り去られた結果、残ったカンラン岩はFeOに乏しくなりました。このFeOに乏しく、密度の小さいカンラン岩がテクトスフェアと呼ばれる厚さ数百kmの安定的な地殻を構成したと考えられます。

大陸縁辺部の地形

数十億年にわたって安定的であったテクトスフェアに対して、大陸縁辺部は、大陸の衝突や海洋プレートの沈み込みを受けることで山脈として隆起し、やがてプルームが上昇したときに分裂しやすい場所が多くなります。つまり、大陸の衝突と分裂は、何回も繰り返してきた中で、限られた場所で起こっていたと言えます。ここからは、プレートの境界ごとに、形成されうる地形を紹介していきます。

ヒマラヤ山脈(衝突帯)

インドプレートは元々、ユーラシア大陸に沈みこんでおり、ユーラシア大陸側に付加体や、北側に傾斜する逆断層を形成していました。その後、インド大陸とユーラシア大陸は6000万年前に衝突し、インド大陸下部にはテクトスフェアが形成されていたことから、ユーラシア大陸側のリソスフェアを圧縮させ、それによって厚くなったことで、逆に沈み込みを開始したと考えられています。

このことにより、インドプレート側のテクトスフェアと、ユーラシアプレート側のリソスフェアの間にアセノスフェアが入り込む隙間ができたため、その上昇により、ヒマラヤ山脈の北側(ユーラシアプレート側)には正断層が形成されたと考えられます。また、断層運動だけでは説明できなかった、チベット高原の急速な隆起を説明することができるモデルとなっています。

このような働きにより、ヒマラヤ山脈の南側には逆断層型の衝上断層、北側には正断層が多く見られます。

現在、ヒマラヤ山脈を高く押し上げている原動力は、沈み込む場所のないプレートによる圧縮力となっており、インド洋中央海嶺における位置エネルギーがほとんどその力に変換されていると言えますが、やがてインドプレートがインド大陸の南側で衝上断層により分断され、その部分で沈み込みを開始すると、ヒマラヤ山脈を押し上げる力が無くなることになります。その結果、海面下にまで沈降すると考えられます。

さらに、インド大陸は、インドプレート側とユーラシアプレート側の双方から沈み込みを受けることで、プルームの上昇が起こりやすい条件になります。その結果、沈降によって海面下にまで高度を下げたヒマラヤが分裂帯となり、ふたたび大陸は分裂していくと考えられます。

また、このようなインドとヒマラヤの関係は、アフリカとアルプス造山帯の関係に対比されます。かつては海洋プレートであったアフリカプレートがユーラシアプレートに対して沈み込んでいましたが、アフリカ大陸がユーラシア大陸に衝突したことでアルプス山脈などを形成しました。

インドのように、完全に衝突して海が閉じているわけではなく地中海の部分に海が残っており、それらは今後隆起により閉じていくと考えられます。なお、地中海の海洋地殻で一番古いものが3億年前のものとなっており、世界最古の海洋地殻とされます。つまり、それ以前の海洋地殻は沈み込みにより上部マントル下部あるいはD”層、もしくはオフィオライトとして地上に産出するのみとなっています。

このような衝突帯では、衝上断層による大規模な隆起により、海洋プレートが沈み込んでいた時代の付加体や変成岩だけでなく、断層運動による発熱や、急激な上昇による減圧によって、大陸地殻内の岩石の変成や、花崗岩の貫入が見られます。

サンアンドレアス断層(トランスフォーム断層)

東太平洋海嶺(海膨)を北にたどっていくと、メキシコ付近で北米プレートに垂直に交わります。そして、北米プレートと太平洋プレートの境界がサンアンドレアス断層となっています。つまり、海嶺のような広がる境界に対して、垂直に横ずれ断層が発達しやすいということが分かります。これは、拡大部に形成される正断層の傾斜は常に一定方向ではなく、傾斜が切り替わる場所がいくつもあることを示します。つまり、この傾斜が切り替わる場所ではプレートの移動方向が真逆になるため、横ずれ断層が発達します。

リソスフェアが引っ張りを受けると、浅部の脆性剪断帯(低圧のため岩石の破壊により変形する)と、深部の延性剪断帯(高圧のため岩石の流動により変形する)との境界には低角のデタッチメント断層(正断層)を形成し、それより上部の地殻は、どちらか一方のプレートにより完全にはぎ取られていきます。そのため、はぎ取られた方のプレートには盆地や堆積盆が発達する一方、地殻を獲得した方のプレートには隆起した地形や、狭い大陸棚が見られます。

このように、広がる境界と一言にいっても、その実体は正断層による非対称な構造であり、横ずれ断層を経るごとにその向きが変わっていくことが分かります。

日本(沈み込み帯・島弧ー海溝系)

プレートは、それまで海洋底で堆積したものや、海溝に堆積した堆積物とともに沈み込んでいきます。多くの場合、基盤岩である枕状溶岩の深さ数十mの部分までは、冷水の循環による鉱物の沈殿が少ないため、間隙率が高くなっています。その結果、チリ型縁辺域における低角な沈み込みの際には、枕状溶岩の間隙率が高い部分よりも上側が、大陸プレートにより削り取られ、付加すると考えられます。

付加のメカニズムは、デュープレックス構造により説明されます。スラブ(沈み込む海洋プレート)が深さを増すにつれて、大陸プレートから受ける圧力は高くなっていきます。間隙率の高い部分は、低い部分に比べて強度が弱いため、一定の圧力を超えると逆断層を形成しながら破壊します。これにより大陸プレートがスラブに乗り上げる形となり、その圧力が最初の逆断層だけで解消されなくなると、さらにその先に新たな逆断層を形成します。このように、連続的に形成された逆断層により、スラブ上部の地層が連続的に積みあがります。これが引きはがし・底付け作用の正体と考えられています。

付加されるときの断層運動により、破砕された硬い岩石が地層中に取り込まれることがあり、そのような構造をメランジュといいます。

一方、大量の水によって上部の大陸プレートの強度が低くなったり、海山や海嶺が沈み込むことによって大陸プレートの下部が削り取られることがあり、それを造構性侵食作用といいます。東北日本などでは付加作用以上にこの作用が強くなっていると考えられ、さらに海溝付近の前弧斜面が急であることにより崩壊が起こるため、前弧は上部も下部も侵食を受けています。

付加体の一部は高圧変成作用を受けるとともに、深くまで沈み込むことで周囲に対して相対的に密度が低くなると、浮力によってスラブを離れ、深部から地上付近まで続く逆断層に沿って上昇していきます。その結果、地上では付加体が形成された当時の構造をほとんど維持したまま観察することができます。

日本に対して沈み込むプレートは、若く大陸プレートと強い結合を示すフィリピン海プレートと、古く大陸プレートと弱い結合を示す太平洋プレートに大別され、前者はチリ型縁辺域、後者はマリアナ型縁辺域の特徴を持ちます。前者では、圧縮成分や横ずれ成分が海溝付近で解消されず、内陸側に逆断層や横ずれ断層が発達しやすい一方、後者では海溝付近にこれらが集中しています。これらの考察から、300万年前以降横ずれ成分が加わったフィリピン海プレートの沈み込みに伴う力は、中央構造線周辺にかつて形成された逆断層が、横ずれ断層として動くことで解消されていると考えられます。

また、北海道に沈み込む千島弧も同様に横ずれ成分を持つため、海溝と横ずれ断層の間の地殻の右横ずれ運動によってユーラシアプレートと衝突した結果、日高山脈が形成されたと分かります。日高山脈に産出する幌満カンラン岩は、この横ずれ断層に沿ってマントルが上昇してきたものとされます。

島弧の分裂と背弧海盆

大陸地殻が深さ60km程度まで固い層を持つのに対して、島弧は固い層が深さ10km前後までしか存在しないため、非常に薄いと言えます。地盤が「固い」、すなわち岩石の脆性領域は温度により決定されます。例えば、地殻を構成する石英や斜長石は温度300℃付近で次第に塑性領域へと移行していくため、急激に強度が落ちます。一方、マントルを構成するカンラン石は温度600℃を超えると急激に強度が落ちます。

大陸地殻では600℃に達するのが深さ60kmの部分である一方、島弧地殻では深さ20km前後で達するので、カンラン石の脆性領域は当然存在しません。また、島弧地殻の火山周辺では300℃に深さ10km付近で達することから、それより深い場所はすべて塑性領域となります。また、地震は脆性領域でほとんど起こるため、10kmよりも浅い場所に分布が集中しています。

火山から少し離れた場所では脆性領域が深さ20km付近まで続くので、本来弱い島弧地殻の中でも、火山周辺はとても弱いため、アセノスフェアの上昇により分裂しやすく、仮に分裂するとその部分に新たに海洋地殻が生成されて、背弧海盆を形成します。このような背弧海盆は、多様な金属により構成される黒鉱鉱床(くろこうこうしょう)により特徴づけられます。

これらのことから、地温勾配が高い、つまり比較的浅い部分で高温に達するような場所ほど地殻の強度は低いことがわかります。火山フロントよりも海溝側は、プレートの沈み込みにより地温勾配が低いため、比較的低温で強度が高くなっています。その結果、地殻内およびマントル内で地震が非常に起こりにくく、活断層もほとんど見られません。このような性質を示す領域をアサイスミックフロントといいます。また、日本海側には海洋地殻が形成されているので、佐渡島や能登半島よりも日本海側に行くと活断層は少なくなります。

まとめ

・大西洋は比較的おだやかに拡大する一方、太平洋は急速に拡大している。この速度の差は、沈み込みの有無により説明できる。

・大西洋では海底の深さと年代の相関関係が分かりやすい一方、太平洋ではホットスポットやプルーム上昇による海台の形成により、相関関係が崩れている。

・重いプレートは軽いプレートに沈み込む。重さの順は、古い海洋プレート、若い海洋プレート、大陸プレートの順である。

・若い海洋プレートが沈み込むとチリ型縁辺域、古い海洋プレートが沈み込むとマリアナ型縁辺域を形成することが多い。後者の場合、沈み込みの位置が後退するロールバックによって背弧海盆が火山フロント付近に出現しやすい。

・大陸地殻で最も安定しているクラトンは、地下にテクトスフェアと呼ばれる厚さ200kmの層を持ち、これらは現在よりも地温勾配が高かったために生じた、カンラン岩質の火山岩であるコマチアイトによりFeOが取り除かれたことで低密度かつ強度の高い層となった。

・大陸の衝突と分裂はテクトスフェアではなく、その周辺の似たような場所で繰り返し起こってきた。アルプス-ヒマラヤ造山帯と一般に言われる部分は、アフリカプレートあるいはインドプレートが、ユーラシアプレートに衝突することで形成された。地中海は、かつて両者の間にあったテチス海の名残である。

・広がる境界は正断層がいずれかの方向に傾斜することで形成され、その傾斜の方向が切り替わる部分に横ずれ断層が発達しやすい。

・チリ型縁辺域には付加体を形成しやすい一方、マリアナ型縁辺域は造構性侵食作用を受けやすい。前者は、海洋プレートと大陸プレートが強い結合を示すため、逆断層や横ずれ断層は海溝付近ではなく、内陸側に形成される。

・火山フロントよりも海溝側は地温勾配が小さいため、活断層が形成されにくいアサイスミックフロントと呼ばれる領域が存在する。一般的に島弧は地温勾配が比較的大きいため、大陸地殻に比べて弱い。

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