エピソード4 銀河の衝突

ダークマターによる重力と遠心力の釣り合いにより、銀河を構成するガスは回転運動をするようになる。この時点ではガスの分布は球状であった。重力によりガスは内側に近づこうとするが、回転軸の方向に近づくためには角運動量を変化させる必要があるために近づけず、回転面の方向に近づいていく。これによりガスが円盤状に分布したことで、円盤銀河を形成した。

種族Ⅱと呼ばれる、水素やヘリウムにより構成された古い星は円盤に降着することなく球状に分布することとなった。円盤に含まれない領域は銀河ハローと呼ばれる。また、銀河の中心部には種族Ⅱのうち質量の大きいものがブラックホールによる重力により引き寄せられ、銀河バルジと呼ばれる円盤の膨らみを形成する。さらに種族Ⅰと呼ばれる、重金属により構成された新しい星は種族Ⅱに対して比較的質量が小さいため、ディスクと呼ばれる円盤の外周を形成することとなった。

私たちの住む天の川銀河では、銀河バルジの形成は宇宙誕生8億年後、すなわち今から130億年前に開始した。さらに110億年前には矮小銀河が衝突したことでダークマターや重金属が供給され、円盤銀河の形成を開始した。このような銀河の衝突により銀河バルジを起点として棒状に古い星が集まる棒構造を形成するとともに、円盤部には相対的に密度の高い部分が生じた。さらに回転運動をしている星がその場所を通過する際に滞留し、相対的に星の形成が活発となることで銀河のを形成した。このように棒構造とそれに伴う腕を持つ銀河は棒渦巻銀河と呼ばれる。

57億年前にはいて座矮小銀河が天の川銀河に衝突したことでガスが供給され、星の形成を促した。これに伴って46億年前に太陽系が誕生した。この矮小銀河は20億年前と10億年前にも繰り返し衝突しており、宇宙線の増加により地球における雲の形成が促進されたことで全球凍結を発生させたとも考えられている。

これによる大量絶滅が生物の飛躍的な進化をもたらしたと考えると、銀河の衝突が私たちの存在に大きく関わっていたということになる。

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