エピソード6 生命の誕生

原始大気には水素やヘリウムをはじめ、メタンアンモニアが多く含まれていた。小惑星帯よりも外側の惑星はその組成を保持したが、内側の惑星では状況が異なった。ジャイアント・インパクトに代表される微惑星の衝突により大気中から軽い水素が取り除かれたことで、地球の大気は電子が不足する酸化的な環境となった。これにより地殻に含まれていた酸素がメタンやアンモニアと結びつき、二酸化炭素窒素が形成された。

玄武岩質の海洋地殻は鉄などの遷移金属だけでなくカリウムリン、希土類元素に富んでおり、それらが海洋に溶け出すことで電子の余った還元的な環境を形成していた。一方で、花崗岩質の大陸地殻放射性元素に富んでおり、それらが大気中の分子から電子をはじき出すことで酸化的な環境を維持していた。

の形成により地球の潮汐は現在よりも大きくなっており、大陸地殻と海洋地殻のプレート境界には間欠泉が形成されていた。満潮時には金属イオンやリン酸を多く含む水が流れ込み、黄鉄鉱が壁面に析出する。水は放射性元素の核分裂による熱により蒸発していき、水位が下がっていく。このとき析出した黄鉄鉱の表面で大気中の活性化した分子同士が結びつくことで、アンモニアやホルムアルデヒドが形成され、最終的にはアミノ酸が形成される。さらに水が蒸発するとリン酸がその表面を覆い、その内部で高分子の合成が進行する。

再び満潮になると合成された高分子やリン酸は分解されるが、干潮になると残った部分を起点に新たに合成が始まる。このサイクルを経て水中の還元的な環境でも分解されないRNAが成立し、リン脂質に包まれた内部における自己複製を可能とした。生命の誕生である。

自己複製により増えていく生命は単純なものだったが、放射線により突然変異が起こることで複雑化していき、環境の変化に適応したものが生き残ることで進化を可能とした。結果的に、生命は27億年前に大きな環境の変化に直面することとなる。

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